ここ数か月、各地の「原発」で種々、動きがみられた。原発はどんな状況でも「安全性」最優先に、安全性に疑いが生じれば安全性が担保されない限り「稼働させてはならない」というのが東京電力福島第一原発事故の悲惨な状況を踏まえた結論だ。


 福島原発事故からあと数か月で15年になるが、未だに原子力緊急事態宣言は解除できず、2万7000人がふるさとに戻れない。甚大事故における深刻さを国民は忘れてはいけない。被害は今も続いている。


 そんな中、直近では石川県にある北陸電力「志賀原発」敷地に活断層が通っている可能性がある地図が国土地理院に23日公表された。1963年の航空写真などを使った能登半島北部地形調査結果で示した「活断層」図。断層は志賀原発敷地を貫き南北に3キロ以上あるとしている。


 報道によると「国土地理院は活断層と判断するのが妥当と考えられる」とし、原子力規制委員会は「推定活断層」を否定できるかどうか、再稼働に向けた審査で新たな調査も視野に活断層の有無を判断していく姿勢を示しているよう。


 原発の重要施設の直下に活断層がある場合、原発は認められない。「廃炉」の可能性もある。北陸電力は「空中写真判読などの地形調査に加え、ボーリング調査や基礎掘削面調査等の複数の詳細な地質調査を行っており、敷地内に活断層が存在しないことを確認している」と可能性を否定するコメントを発表。


 そのうえで「この確認結果は23年3月の審査会合にて敷地内断層に関する当社の評価結果として説明し、原子力規制委員会から志賀原発の敷地内に活断層はないとの評価をいただいいる」と強調。


 また「国や研究機関から出される『新たな知見』に対して、引き続き適切に対応してまいります」と新たな知見には対応していくと発信した。

原発事故に「想定外」は許されない。今後の原子力規制委員会の時間をかけての対応を見守りたい。


 一方、新潟県にある東京電力柏崎刈羽原発6号機は東電が原子力規制委員会に「使用前確認」の申請を行った。来月20日から再稼働させ、2月26日から営業運転を目指すという。北海道にある北海道電力泊原発も再稼働への動きが加速している。「原発の再稼働で電気代が安くなる」「データセンター増設で電気が足りなくなる」などで価格や需給関係を強調することで原発再稼働に理解を得やすくしようとする「世論操作」の危険性さえ感じる状況にある。


 政府は「可能な限り原発依存度を低減する」とした方針を電力業界や経団連の強い要請を受けて「原発を最大限活用する」と180度方針を変え「原発回帰」になった。


 そのような状況だからこそ、時間と経済の停滞を招いたとしても「原発は安全性確保が最優先」の姿勢、福島第一原発事故の自然界の生態系をも危機にさらした現実を踏まえた取組みが求められている。人類は「原発事故」の教訓を忘れてはならない。事故処理はこれからが本番、事故から15年を迎えようとしているが、未だにその段階だ。(編集担当:森高龍二)

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