2026年2月9日、衆院選の結果を受けて国民民主党の玉木雄一郎代表は、党本部での記者会見にて「我々が掲げてきた『手取りを増やす』政策の方向性は、今や国政の主要な課題となった。選挙結果にかかわらず、約束した政策の実現を求めていく」と述べた。
■昨年末の党首会談から続く「178万円」の合意背景
所得税の基礎控除等を現行の103万円から178万円へと大幅に引き上げる方針は、2025年12月18日の党首会談ですでに基本合意に達している。高市首相はこの際、「所得を増やして消費マインドを改善し、強い経済を構築する観点から判断した」と述べており、国民民主党が訴えてきた「手取り増」の考え方を、自民党の目指す経済成長戦略の具体策として取り込んだ経緯がある。
今回の衆院選での自民党の大勝により、この「178万円」という具体的な数字の実現に向けた政治的基盤はより強固なものとなった。高市首相は本日夕方の会見で「空白期間を置かずに直ちに経済対策の実行に入る」と表明しており、政府内では、物価高対策を柱とする補正予算案の編成作業と並行して、税制改正による「手取り増」を早期に実感させるための実施時期の調整が行われている。
■住民税や社会保険料へ広がる議論の行方
国民民主党は今回の選挙戦において、所得税の基礎控除だけでなく、住民税の控除額の引き上げやガソリン税の減税なども公約に掲げていた。玉木代表は会見で「所得税の178万円実現は当然として、さらに踏み込んだ住民税や社会保険料の負担軽減についても、粘り強く協議を続けていく」と強調した。
一方の自民党側も、維新との連立維持を確認する中で、社会保険料の負担軽減を検討課題に含めるなど、国民民主党の主張と共通項を持つ政策を政権運営の選択肢に据えている。自民党が単独で316議席を得た現在、焦点は国民民主党との政局的な駆け引きを超え、いかに実務的に「178万円の壁」を取り払い、現役世代の可処分所得を最大化するかという政策執行の段階へと移っている。
■2026年度税制改正と経済波及効果への視点
この大型減税により、給与所得者の約8割が恩恵を受けると試算されている。高市首相は「働き控えを解消し、人手不足を補うことで事業収益を上げる。この好循環こそが、デフレからの完全脱却と成長への道筋である」として、税制改正を経済成長のエンジンの一つと位置づけている。
夕刻の官邸周辺では、18日とも目される特別国会の招集に向け、補正予算案と税制改正の整合性を図る実務的な作業が進められている。国民民主党の提案から始まった「178万円」という数字が、巨大与党の執行力を得て国民の生活にどう還元されるのか。政党の枠を超えて共通化したこの経済施策の行方に、マーケットと家計の双方が注視している。
今後は178万円への引き上げがいつ国民の給与明細に反映されるのか、その具体的な「時期」が最大の焦点となってくる。316議席という圧倒的な議席数は、単なる数の力に留まらず、異なる政党間の公約を一つの実効性ある政策へと昇華させ、迅速に執行するための強固な土台となった。所得税のみならず、玉木代表が主張する住民税や社会保険料の見直しがどこまで政府案に反映されるかを含め、新政権が掲げる「成長と還元の好循環」の真価が、最初の大型経済対策で試されることになるだろう。(編集担当:エコノミックニュース編集部)

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