「憲法を変える前に、まずは今日の生活を何とかしてほしい」。高市首相が改憲への意欲を語るたび、子育て世代を中心にこうした切実な声が上がる。
カギを握るのは、改憲案に含まれる「教育の充実」だ。これが実現すれば、所得制限なしの教育支援は、政権が変わっても揺るがない国家の義務へと昇華されることになる。
■所得制限なしという高市流・経済対策の現在地
高市政権は発足以来、公立小中学校の給食費無償化や高校授業料の実質無償化において、一貫して「所得制限の撤廃」を推し進めてきた。しかし、多くの有権者はこう感じている。「今はいいけれど、将来の政権交代や財政難を理由に、また所得制限が復活するのではないか?」と。事実、これまでの日本の政策は、予算の都合によって「支援の条件」が何度も書き換えられてきた歴史がある。
■なぜ「憲法」に書く必要があるのか?
ここで、法律(教育基本法など)と憲法の違いを整理すると、高市首相の狙いが鮮明になる。
法律: 国会の「過半数」で改正が可能。つまり、政権や予算状況が変われば、所得制限の再導入や予算カットが容易に行える。
憲法: 改正には衆参両院の「3分の2」と国民投票が必要。一度書き込まれた義務は、時の政権の裁量だけで簡単に消し去ることができない。
自民党の改憲案では、憲法26条に「国は教育環境の整備に努めなければならない」という趣旨の条文を追加することを提案している。これを憲法という最高法規に格上げすることで、たとえ財政が厳しくなっても、教育予算を真っ先に削ったり、所得によって子供を選別したりすることを防ぐ「最強の法的歯止め」を持たせることになるのだ。
■高市首相が描く積極財政の永続化
高市首相は責任ある積極財政を掲げているが、その投資先として「人への投資」を最上位に置いている。憲法に教育の充実を明記することは、野党である維新や国民民主党が掲げる教育無償化とも親和性が高い。
改憲議論を単なるイデオロギーの対立として捉えるのではなく、次世代への投資を憲法で保証するという、国民の多くが賛成しやすい土俵へと移す試みと言えるだろう。もしこれが実現すれば、所得制限なしの支援は、政権の裁量に左右されない国民の当然の権利として定着することになる。
■生活を守るための最高法規という視点
憲法改正は、私たちの生活とは無縁の遠い議論ではない。むしろ、今日の給食費や明日の学費という身近な安心を、誰にも奪わせないための土台作りという側面を持っている。
高市首相が経済対策と改憲を並行して語るのは、この両輪が合わさって初めて、国民の生活に永続的な安心を届けられると考えているからではないか。私たちは今、憲法を単なる理念の書としてではなく、生活を守るための実務的な契約書として読み解く必要がある。(編集担当:エコノミックニュース編集部)





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