財務省は2月10日、国債及び借入金等の現在高が、2025年12月末時点で1342兆58億円に達したと発表した。一部メディアでは、この総額を単純な割り算で換算し、国民一人当たり約1090万円の負債というショッキングな数値で報じられている。
しかし、国家財政の根幹を支えるのは、憲法第83条(財政民主主義)や財政法、さらには中央銀行の役割を定めた日本銀行法といった法的枠組みである。これらを無視して、個人の家計と同様の借金の概念で国家を語ることは、制度の本質を見誤ることになりかねない。
長年、日本国民の多くは一人当たり(約〇〇〇〇万円といった数字を目にするたびに、将来、過酷な増税にさらされるのではないかという切実な不安を抱き続けてきた。しかし、国家財政を客観的かつ公正に評価するには、簿記上の連結決算の概念、すなわち統合政府という視点、および法律が定めた資金の還流ルールを正しく理解することが不可欠である。
■連結決算と政府資産が浮き彫りにする実態
日本銀行が公表する資金循環統計によれば、発行された国債の5割超は、他でもない日本銀行が保有している。政府を親会社、日本銀行を子会社と見なす統合政府という連結バランスシート(貸借対照表)を作成すれば、この内部保有分は資産と負債が相殺される項目であることが明白となる。
さらに、議論の多くは負債のみに集中しがちだが、日本政府は世界最大級の対外純資産や、インフラ、国有地などの膨大な固定資産を保有している。家計に例えるなら、住宅ローン残高だけを見て、住んでいる家の価値や家族の総資産を無視するようなものだ。負債だけを切り取って議論することは、財政の実像を歪めることになりかねない。
■日本銀行法第53条という還流の法的担保
利払い負担についても、国家特有の制度的な裏付けが存在する。その柱となるのが、日本銀行法第53条(剰余金の処分)である。
これは、日本銀行が政府から受け取った国債の利息収入等から、経費や準備金を差し引いた残額のほぼすべてを国庫納付金として政府の歳入(一般会計)へ納付することを定めた法律だ。
個人のローンであれば、利払いは純粋な負担だが、政府と日銀の間では、法に基づき資金が循環している。この制度上の安定装置がある以上、自国通貨建て国債の発行が、即座に利払いによる財政破綻を招くという懸念は、制度上、解消されていると言える。
■現政権が掲げる経済成長と財政の基本認識
この構造的な事実は、国政の場でも現政権の基本認識として示されている。高市総理は、日本国債が自国通貨建てである点に触れ、デフォルト(債務不履行)の可能性を一貫して否定。単なる負債の抑制ではなく、積極的な投資による経済成長こそが最大の財政対策であるとの認識を一貫して示している。
また、片山財務大臣も、財政の健全性を評価する指標として、固定的な債務残高の絶対額のみに固執するのではなく、対GDP比の安定と低下を重視する姿勢を明確にしている。
財政再建には借金を減らす(分子を小さくする)方法と、所得を増やす(分母を大きくする)方法の2つがある。分母であるGDP、すなわち国民の所得の総計を拡大させることこそが、一人当たりの負債額という数字の重みを相対的に小さくしていく、最も現実的かつ合理的な処方箋である。
■供給された資金を、社会の豊かさと所得へ繋ぐために
この国家財政の議論において、私たちが立ち返るべきは、財政法や日本銀行法第53条といった、国家の運営ルールそのものである。法律が通貨の還流と適切な財政運営をあらかじめ担保しているという事実は、個人の借金問題には存在しない、国家ならではの極めて強固な安全装置である。この法的根拠があるからこそ、私たちは一時的な負債の数字に過度に動揺することなく、冷静に経済の先行きを見据えることができるのだ。
経済の基本原則に立ち返れば、政府部門の負債は、民間部門(家計や企業)の資産と表裏一体の関係にある。政府が計上した1342兆円の負債とは、それと同額の通貨が、インフラ整備、科学技術、教育、社会保障、あるいは各種給付金といった公共的なチャネルを通じて、既に社会に送り届けられた結果である。
それは巡り巡って、私たちが手にする給与や将来のための備え、あるいは企業が新しい投資を行うための手元資金といった形で、私たちの身近な場所に確実に積み上がっている。政府が負債を記録した分だけ、私たちの社会にはそれと同額の動かせるお金が増えてきたというのが、経済の裏側にある真実である。
316議席という圧倒的な民意の負託を受けた現在の舵取り役に求められているのは、単なる帳尻合わせではない。これまで社会に供給されてきた巨大な資金を滞りなく循環させ、国民一人一人の実質的な手取り所得の増加へと結びつける実行力である。
私たちが注視すべきは、一人当たりに換算された負債の数字に怯えることではない。日本が持つ盤石な法的制度、そして世界最大級の対外資産や優れた技術力といった真の国力を正しく認識し、それをどう活かすかという議論ではないだろうか。
数字の羅列がもたらす根拠なき不安を乗り越え、制度の本質を冷静に見据えた政策が遂行されるとき、日本経済は真の再興を果たす。その先にあるのは、次世代に負担を先送りする社会ではなく、次世代がより豊かに、より力強く挑戦できる所得と社会資本が健全に循環する未来である事を願う。(編集担当:エコノミックニュース編集部)
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