「補正予算」と「暫定予算」は、名前こそ似ていますが家計に与えるインパクトは真逆の性質を持ちます。前者は景気を下支えする「ブースター」の役割を果たしますが、後者は国家機能が最低限の維持に留まる「アイドリング状態」を意味します。

この構造的な違いを正しく理解することが、不透明な日本経済の先行きを読み解く鍵となります。


 前年度の経済対策(補正予算)では約13.1兆円にのぼる追加支出が物価高対策として投じられましたが、今回の暫定予算は必要最低限の支出として約15兆円が計上されるに留まりました。これは一般会計112兆円の約50日分に相当する「人件費や年金、国債費」を算出したもので、財政法上、新たな景気刺激策を盛り込むことは禁じられています。特筆すべきは、経済成長に直結する投資枠が実質的にほぼゼロとなり、経済を回すための「攻めのお金」が完全に封印されている点にあります。


 制度上、補正予算は年度途中の「追加の財布」ですが、暫定予算は年度当初の「欠落」を埋めるための緊急手段です。生活者にとって、補正予算時は自治体からのプレミアム付商品券といった支援が期待できる「ボーナス期」のような側面がありましたが、暫定予算下ではこうした新規の支援策は一切凍結されます。そのため、物価高に苦しむ家計は公的な助けを得られないまま、厳しい「自助努力」を強いられる期間が続くことになります。


 いわば、家計でいえば「今月は臨時収入が出るから欲しかった家電を買おう」というのが補正予算で、「主人の都合で給料の振り込みが遅れ、貯金だけで食いつなげ」と言われているのが今の暫定予算の状態です。そんな「赤字月」が続く中で、私たちは普段通りの生活を維持しなければなりません。国家の財布の異常事態は、まさに私たちの家の財布を直撃する「非常事態」そのものなのです。この「国家の家計危機」を脱するためにも、18日からの国会では建設的な議論が行われ、本予算が一日も早く成立することを願います。(編集担当:エコノミックニュース編集部)

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