連合が過去30年で最高水準となる5%以上の賃上げ要求を掲げ、2026年春闘が本格化しています。物価高に負けない所得向上を目指す労働側に対し、経営側がどこまで応じるかが日本経済の分水嶺となります。
連合が2026年春闘方針で示した定期昇給分を含む5%以上の賃上げ要求が、もし満額で回答された場合を試算します。月収30万円の世帯で1.5万円の昇給となりますが、厚労省が定める社会保険料率の改定や累進課税の影響により、増額分の約4割が法定控除等で消失します。その結果、実質的な手取り増は約9,000円に留まり、前年比3%台で推移する消費者物価の上昇分でその大半が相殺されてしまう計算です。
制度面では、給与が増えると標準報酬月額が上がり、厚生年金や健康保険料の本人負担分が自動的に増加する仕組みが、賃上げの恩恵を吸収しています。生活への影響としては、昇給という前向きなニュースに反して、銀行口座の振込額の増え幅が想像以上に小さいため、将来への不安から財布の紐を締め直す心理的冷え込みが起きることが予想されます。名目の数字は上がっても、生活にゆとりが生まれない歪みが生じています。
給料が上がったはずなのに、なぜか生活が楽にならないという感覚は、決して気のせいではありません。今の日本は、頑張って働いて得た対価が、制度によって静かに吸い上げられてしまう構造にあります。18日から始まる国会では、単なる賃上げの要請に留まらず、現役世代の手取り最大化に向けた所得税減税や社会保険料負担の適正化について、速やかに踏み込んだ合意がなされることを期待したいものです。(編集担当:エコノミックニュース編集部)

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