今回のニュースのポイント


・両立の現状:防衛費の倍増(年約9兆円規模)と社会保障費(年約30兆円超)が、限られた歳出枠を激しく争っている


・高市政権の戦略:防衛や経済安全保障への支出を「単なる消費」ではなく、国内供給力を高める「投資」と定義


・財源の課題:法人税・所得税の「防衛増税」時期が焦点となる一方、日銀納付金や国債発行の活用も議論の的に


 これからはじまる予算審議。その最大の難問は、「右手に剣(防衛)、左手に盾(社会保障)」を同時に持てるのかという、国家の優先順位を巡る問いです。

2026年度予算案では、防衛費が初めて9兆円に迫る一方で、高齢化に伴う社会保障関係費も過去最大を更新し続けています。


 「防衛費を増やすなら、福祉が削られるのではないか」。多くの国民が抱くこの懸念に対し、高市政権は「危機管理投資」という新しい概念で応えようとしています。これは、防衛装備品の開発やサイバーセキュリティーへの支出を、単なる「お金が出ていく消費」ではなく、日本の先端技術を育て、雇用を生む「成長のための投資」と位置づける考え方です。


 これを家計に例えるなら、「家のセキュリティーを強化するついでに、最新のスマートホーム技術を導入し、生活の利便性(供給力)も高めてしまおう」という発想です。防衛産業を育てることで税収を増やし、その稼いだ分で社会保障を支えるというサイクルを目指しています。


 しかし、この「両立」への道筋は決して平坦ではありません。現実には、高額な海外製装備品の購入などが続けば、国内産業への波及効果は限定的となり、結果として「福祉の予算」を圧迫する圧力が強まります。


 今回の国会では、2027年度以降に予定されている「所得税・法人税の増税」をどう扱うかも大きな火種となります。増税を避けて「両立」を実現するには、日本銀行法に基づく国庫納付金や、適切な国債発行の活用など、極めて高度な財政運営が求められます。(編集担当:エコノミックニュース編集部)

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