今回のニュースのポイント


・制度の変遷:NISAの恒久化・拡充により、現役世代を中心に投資への心理的ハードルが劇的に低下


・格差の要因:日々の生活に追われ「種銭(余裕資金)」を持てない層と、複利の恩恵を享受できる層の乖離


・リスクの受容:市場変動に対する耐性は、個人の性格以上に「家計の余力」という構造的問題に依存


 「貯蓄から投資へ」というスローガンが叫ばれて久しく、2026年現在、街中の広告やSNSは投資の話題で溢れています。かつては一部の層の趣味や特権のように捉えられていた投資は、NISA制度の拡充を経て、今や「将来に備えるための標準的な家計防衛策」としての地位を確立しました。


 しかし、ブームが広がる一方で、ある重要な問いが浮上しています。それは「投資に参加するだけで、誰もが一等しく豊かになれるのか」という点です。これを家計に例えるなら、「高性能な炊飯器(NISAという制度)を買えば誰でも美味しいご飯が炊けるわけではなく、まずは良質な米(余裕資金)と、適切な水加減の知識(金融リテラシー)が必要である」という状況に似ています。


 実際に資産形成が進む層と、停滞する層の間には、大きく分けて3つの壁が存在します。1つ目は「余裕資金の壁」です。毎月の生活費で精一杯な層にとって、投資に回す資金を捻出すること自体が困難であり、複利の恩恵を受けるための「種銭」が確保できません。


 2つ目は「リスク耐性の壁」です。リスク耐性とは、市場が暴落した際に「いつか戻る」と耐えられる精神力のことですが、これは個人の性格以上に「生活防衛資金」の有無に左右されます。明日使うお金を投資に回している人は、わずかな下落でも狼狽して売却してしまい、結果的に損失を確定させてしまうケースが少なくありません。


 3つ目は「情報の選別力」です。溢れる情報の中から、自分に合った商品を選び、長期的な視点を維持する知識の有無が、最終的な成果に大きな差を生みます。投資ブームは確かに資産形成のチャンスを広げましたが、それは同時に「家計の余力」という構造的な格差を、将来の「資産額の差」として固定化する側面も持っているのです。


 しかし、この事実に悲観する必要はありません。むしろ「今の自分に無理のない投資額」を見極めることこそが、最大の防衛策となります。たとえ少額からのスタートであっても、流行に流されず、自分の生活を守りながら投資を「習慣」にできれば、それは立派な知恵です。まずは自身の家計を整理し、自分だけの「心地よいペース」を見つけること。構造的な格差を嘆くのではなく、自分に合った情報の取捨選択を始めることが、未来の自分を助ける確実な第一歩となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部)

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