今回のニュースのポイント


・時間の枯渇:日々の業務に追われる中で「就業時間外での学習」を前提とする設計が招く疲弊


・目的の乖離:会社が求めるスキルと、社員が将来に描くキャリア像が一致していないという不一致


・文化の欠如:失敗を許容し、新しい知識を試せる「心理的安全性格差」が学びの質を左右する


 新しいスキルを身につけなければ、未来はない。そんな危機感から「リスキリング」に取り組む企業が急増しています。

しかし、2026年の現場から聞こえてくるのは、自己成長への期待ではなく、深夜まで続くオンライン講座への溜息と、終わらない通常業務との板挟みに悩む声です。なぜ、本来は希望であるはずの「学び」が、これほどまでに苦痛に変わってしまったのでしょうか。


 この状況を、食事に例えてみましょう。健康のために栄養を摂れ(学び)と言われ、目の前に大量のサプリメントを出されましたが、そもそも日々の仕事で胃腸がボロボロ(疲弊)で、消化する力が残っていない。その上、その栄養が自分の体のどの部分に効くのかも説明されないまま、ただ「飲め」と強制されているような状態です。これでは、どんなに良質な講座も毒にしかなりません。


 リスキリングが苦痛になる最大の要因は、それが「今の仕事にプラスアルファで乗っかる重荷」になっていることです。会社側は、学びを促すのであれば、同時に「何を止めてもいいか(アンラーニング)」をセットで提示しなければなりません。古いやり方を捨て、空いた時間で新しいことを学ぶ。この引き算の視点が欠けたままでは、学びはただの過重労働に他なりません。
 
 一方で、会社側も必死です。急速な技術革新の中で、社員のスキルが陳腐化することは、会社全体の倒産リスクに直結します。

経営層にとってのリスキリング支援は、社員を見捨てるのではなく、最後まで一緒に戦い抜くための「装備のアップデート」なのです。この切実な想いが、現場には「強制」として伝わってしまっているのが、今のリスキリングの悲劇です。


 学びとは、本来「自由」を手に入れるためのものです。もしあなたが今、リスキリングを苦痛だと感じているなら、それはあなたの意欲の問題ではなく、環境の不備かもしれません。大切なのは、会社が提示するメニューをただこなすのではなく、「この学びは自分の人生をどう楽にしてくれるか」という自分勝手な視点を持つことです。そして会社側は、学びを個人の責任にせず、組織の文化として「試す時間」を保証すること。互いの歩み寄りが、苦痛を希望に変える唯一の道となるはずです。(編集担当:エコノミックニュース編集部)

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