今回のニュースのポイント


・想定モデルの賞味期限:1960年代の「終身雇用男性+専業主婦」を標準とした設計思想が、現代の多様な生き方をカバーしきれなくなっている


・現実との乖離:単身世帯(約38%)や共働き世帯(約65%)が主流となり、フリーランスも増加する中で、「標準世帯」優遇の不利益が顕在化している


・OSのアップデート:特定のモデルを優遇するのではなく、個人の多様な生き方に中立な制度設計への転換が議論されている


 私たちは、普段意識することなく、国が決めたルール(制度)の中で生きています。しかし、そのルールをよく観察すると、ある特定の「想定された人物像」が浮かび上がってきます。

日本の多くの社会制度は、いまだに昭和の家族モデル――すなわち、終身雇用の夫と専業主婦の妻、という形を標準として設計された設計思想に基づいています。


 その典型例が、専業主婦の保険料が免除される「第3号被保険者制度」や、世帯単位の課税、配偶者控除です。これらはかつて、家庭を守る主婦を支える合理的な仕組みでしたが、現代では共働き世帯の就業調整を強いる「106万円の壁」や「130万円の壁」を生み、制度の陳腐化を実感させる大きな要因となっています。


 2026年現在、統計からもそのズレが明らかです。単身世帯は全世帯の約38%に達し、共働き世帯も約65%まで拡大。フリーランスや非正規など働き方も多様化する中で、制度が想定する「標準」から外れた人々が、結果的に不利益を被ったり、セーフティネットからこぼれ落ちたりするリスクが高まっています。


 社会の「OS(基本ソフト)」が現状の「アプリ(国民の多様な生き方)」に合わなくなっている。これが、多くの人が感じる「生きづらさ」の背景にある要因の一つです。政府や学術界では、世帯単位から「個人単位」の社会保障へ、どのような生き方を選んでも不利にならない中立的な制度設計への転換が模索されています。


 もっとも、完全な制度の中立化には、新たな財源の確保や世代間・属性間の公平性をどう保つかという極めて困難な課題が横たわっており、一朝一夕に実現するものではありません。しかし、制度は不変ではありません。私たちが「自分はこの制度の想定に入っているのか?」と問い直し、声を上げ続けることが、2026年の現実に即した新しいルールの形を作っていく原動力となります。

制度は私たちを守るためのものであり、私たちが制度に合わせるために生きているのではないのです。(編集担当:エコノミックニュース編集部)

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