今回のニュースのポイント


・2025年5月の法律施行を受け、重要経済安保情報に接する人の信頼性を国が確認する「セキュリティ・クリアランス」制度の本格的な運用設計が進展。


・日本企業が海外の機密情報を扱う国際共同開発や政府調達への参画を容易にし、経済競争力を高めることを目指す。


・適格性評価に伴う個人情報の調査範囲やプライバシー保護、企業内での情報管理体制の構築が民間における実務上の課題。


 政府は現在、2025年5月に施行された「重要経済安保情報保護活用法」に基づき、経済安全保障の核心となる「セキュリティ・クリアランス(SC)」制度の本格運用を見据えた実務設計を進めています。高市首相は2026年2月20日の施政方針演説において、サイバー攻撃や技術流出が深刻化する中、日本の情報保護体制を世界水準に引き上げることが、国際的な信頼を得るために不可欠であるとの認識を改めて示しました。


 この制度は、半導体や重要インフラ、AIなどの機密情報を「重要経済安保情報」として指定し、それらに接する民間企業の従業員や公務員に対し、借財状況や犯罪歴、外国政府との関係などを国が事前に調査・確認する仕組みです。適性評価によって「漏洩の恐れがない」と認められた者のみが情報を取り扱えるようになります。これにより、これまで日本企業が制度の未整備を理由に排除されがちだった、最先端技術の国際共同開発や海外政府調達への参画が促進されると期待されています。


 一方で、民間への本格的な展開にあたっては、慎重な運用も求められています。適格性評価の過程で行われる調査が、プライバシーの侵害に繋がらないかという懸念です。政府は本人の同意を前提としていますが、企業内での非取得者に対する事実上の差別防止や、情報管理コストの増大など、実務面での課題も指摘されています。


 オンライン上のプラットフォームを確認すると、SNS上では技術流出を防ぐ観点から制度を支持する投稿が見られる一方で、ニュースのコメント欄などでは「身辺調査の範囲への不安」や「企業負担をどう緩和するのか」といった、個人の権利保護や実務上の円滑な移行を求める声も多く見られます。


 今後の焦点は、制度の本格活用に向け、民間企業がいかにスムーズに情報管理体制を整備できるかにあります。政府には、この制度が日本企業の国際競争力をいかに担保し、国全体の安全をどう守るのか、引き続き丁寧な説明と適切な運用が求められています。

(編集担当:エコノミックニュース編集部)

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