今回のニュースのポイント


・地政学リスクの高まりを受け、改正食料・農業・農村基本法に基づき、国内生産基盤の抜本的な強化に向けた取り組みを具体化。


・労働力不足を補うため、AIや自動走行トラクター等の「スマート農業」技術の導入を強力に支援し、農業の産業競争力を高める。


・有事を含む食料確保を念頭に既存法制の運用や新たな枠組みの検討を進める一方、今後の予算編成における金融支援の拡充が焦点。


 政府は現在、地政学リスクや異常気象に伴う食料調達リスクへの対応として、食料安全保障の抜本的な強化を段階的に実行しています。高市首相は2月20日の施政方針演説において、食料を国民の生命を守る国家の重要課題と位置づけ、食料自給率の向上と国内生産基盤の維持・拡大に向けた構造改革をさらに進める姿勢を示しました。


 この取り組みは、2024年に成立した改正食料・農業・農村基本法の理念を具現化するものです。具体的には、深刻な労働力不足に直面する農村部において、AIやロボット、自動走行農機などを活用したスマート農業の社会実装を加速させています。また、輸入依存度の高い肥料や飼料の国内産への転換を促し、外部要因に左右されにくい強靭な供給網の構築を図っています。有事の際の食料確保についても、既存の法制や新たな枠組みの検討を含め、実効性のある備えを念頭に置いた議論が進んでいます。


 しかし、現場の農業者からは課題も指摘されています。スマート農業の導入には多額の初期投資が必要であり、中小規模の農家がその恩恵を享受するための支援策が十分かという点です。また、急速に進む高齢化と後継者不足により耕作放棄地が拡大する中、先端技術の導入と併せて、農業の所得向上をいかに実現するかが問われています。


 オンライン上の反応を確認すると、SNS等では食料自給率の向上を国防と同等に重視する投稿が見られる一方で、ニュースのコメント欄では「農産物の適切な価格転嫁が進まなければ若手の参入は難しい」「2026年度以降の予算編成で実効性のある金融支援が盛り込まれるか注視したい」といった、具体的な支援策の持続性を問う声も少なくありません。


 今後の焦点は、今後の予算編成において、スマート農業の普及を促す税制支援や金融措置をどこまで具体化できるかにあります。

政府には、技術革新を起点に農業を「稼げる産業」へと転換し、次世代が持続的に参入できる環境を構築することが求められています。(編集担当:エコノミックニュース編集部)

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