今回のニュースのポイント
・送電停止の実力行使:スロバキアのフィツォ首相は2月23日(現地時間)、送電会社に対し、ウクライナへの緊急電力供給を停止するよう要請を実施しました。これは宣言通りの実行となります。
・ドルジバ・パイプラインの影響:1月27日の攻撃により、ウクライナ領内のロシア産原油輸送用パイプラインが損壊。供給が途絶えたスロバキア側の対抗措置として、ウクライナの輸入電力の18パーセントを占める供給路が断たれました。
・日本への波及リスク:欧州での電力不足は、代替としてのLNG需要を急増させます。世界のLNG市場での争奪戦再燃は、数ヶ月後の日本の電気代・ガス代を押し上げる直接的な要因となります。
2月23日の欧州時間(日本時間24日未明)、スロバキア政府がウクライナに対する緊急電力供給の停止を正式に要請しました。フィツォ首相が予見していた対抗措置がついに実行に移された形です。このニュースは何を意味するのか。それは、エネルギーがもはや「交渉のカード」を超え、実力行使としての「矛」となり、欧州の連帯に亀裂を入れているということです。
背景にあるのは、1月27日に発生したウクライナ領内のドルジバ・パイプラインへの攻撃です。これによりロシア産原油の輸送が停止し、エネルギー源を依存するスロバキアは深刻な打撃を受けました。スロバキアは、原油の輸送再開を条件にウクライナを支えてきましたが、進展がないとして、ウクライナの月間輸入電力の18パーセントを支える送電の遮断を決断しました。深刻な電力不足に苦しむ隣国に対し、「自国のライフラインが止まるなら、そちらの明かりも消す」という報復の連鎖が始まったことを意味します。
影響の整理として、ウクライナ国内では電力インフラのさらなる脆弱化が懸念されます。しかし、私たち日本にとっての真の影響は、国際的なLNG(液化天然ガス)市場への波及です。欧州が電力不足を補うために市場からLNGを一斉に買い占めれば、2020年代前半の物価高を招いた「LNG争奪戦」が再燃します。これによって国際価格が高騰すれば、数ヶ月のタイムラグを経て、日本の電気代やガス代、さらには企業の製造コストを押し上げる要因となります。すぐには出ない影響ですが、スロバキアの決断は、常に私たちの家計の裏側と繋がっているのです。
今後の注目点は3点あります。1点目は、EU(欧州連合)がスロバキアの独断をどこまで制御し、エネルギー連帯を立て直せるか。2点目は、ドルジバ・パイプラインの復旧が政治的・技術的にいつ可能になるか。3点目は、この対立が長期化し、春以降の天然ガス貯蔵の積み増し競争にどう波及するかです。今、私たちが享受しているエネルギーの安定が、いかに繊細な国際政治のバランスの上に成り立っているのかを再確認することが、今後の不透明な世界経済を読み解く力になります。(編集担当:エコノミックニュース編集部)





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