今回のニュースのポイント


・2026年春闘は大手企業を中心に連合の5%要求に応える5%超の先行回答が相次ぎ、高い賃上げモメンタムが維持されています。


・一方で中小企業は3%から4%台の賃上げに留まると予測されており、大企業との格差是正が依然として大きな課題となっています。


・実質賃金のプラス定着には、サプライチェーン全体で人件費上昇分を適正に分担する商慣習への構造変革が不可欠です。


 2026年の春闘は、主要企業を中心に3年連続の5%台賃上げという景色が定着しつつあります。連合の5%以上という要求方針に対し、日本生命野村證券などが5%から6%を超える賃上げを表明するなど、経営側の姿勢も前向きです。


 しかし、実態を深掘りすると、別の側面が浮かび上がります。東証プライム上場クラスでは平均4.69%から5.45%程度の高い賃上げが予測される一方、中小企業は4.5%前後、小規模企業では3%台に留まる可能性が指摘されています。なぜ、同じ物価高に直面しながらこれほどの差が出るのでしょうか。


 その鍵は価格転嫁の成否にあります。大企業はグローバル市場での価格設定権を持ち、コスト増を製品価格に転嫁しやすい収益構造を持っています。一方で、多くの中小企業は原材料費の高騰分は転嫁できても、人件費の上昇分までを取引先に請求できる文化がまだ十分に醸成されていません。


 生活者にとっての真の指標は、名目の賃上げ率ではなく実質賃金がプラスになるかどうかです。2025年も賃上げは実現したものの、物価高により実質賃金の改善は限定的でした。2026年は、単なるパーセンテージの高さではなく、その賃上げが無理のない収益に基づき、社会全体で人件費というコストを適正に分担できるかという構造変革の成否が問われています。

(編集担当:エコノミックニュース編集部)

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