今回のニュースのポイント
・供給網の多角化:政府は中国の輸出規制強化に対抗し、特定国に依存しない資源同盟の構築を急いでおり、その中核として豪州やカナダでの共同開発支援を挙げています。
・財政支援の仕組み:予備費390億円を活用し、独立行政法人のJOGMECを通じて日本企業が海外鉱山の権益を買い取る際の資金を補助・出資します。
・産業へのインパクト:安定的な鉱物調達が次世代半導体や電気自動車のバッテリー製造コスト抑制に直結し、日本の製造業の国際競争力を左右する重要課題となっています。
日本政府は、半導体や脱炭素技術に不可欠な重要鉱物の安定確保に向け、2026年1月に閣議決定した予備費のうち約390億円を投入する方針を固め、資源安全保障は新たな局面を迎えました。これは、中国がレアアースやレアメタルの輸出管理を強化していることへの直接的な対応策といえます。政府は今後、価値観を共有する豪州やカナダ、米国といった諸国との連携を強化し、民間企業が海外鉱山の開発に参加しやすくなる環境を整えていく方針です。
この背景には、深刻な対中依存の解消とオフテイク権の確保という課題があります。現在、日本の製造業はレアアース磁石の約9割を中国からの輸入に依存していますが、この状況を打破する鍵となるのが、産出される鉱物を優先的に引き取る権利であるオフテイク権です。多額の初期投資と高い探鉱リスクを伴うため、これまでは民間単独での参入に限界がありましたが、政府がJOGMECを通じてリスクを分担することで、日本企業による直接的な権益確保を加速させる狙いがあります。
こうした動向は、製造業の競争力維持に多大な影響を及ぼします。重要鉱物の調達安定化は、日本の基幹産業である自動車や電機メーカーにとって生命線であり、例えば、電気自動車のモーターに欠かせないネオジムや、バッテリー用のリチウム・コバルトの価格安定は、製品価格の抑制に直結します。政府の支援を受けて商社や非鉄大手が海外権益を確保することは、中長期的に見て日本の製造現場が資源の武器化に振り回されるリスクを軽減し、サプライチェーン全体の強靭化に寄与すると受け止められています。
今後の視点としては、国際協力とリサイクルという両輪の確立が重要となります。海外での開発支援と並行して、国内での都市鉱山活用の実効性をどこまで高められるかが問われています。

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