今回のニュースのポイント


・日本発のヒューマノイド開発を推進する産学連携団体KyoHAにロームと住友電気工業が新たに参画し開発体制を拡充した


・ロームはパワー半導体やアナログ半導体を提供しロボットの電力制御と高効率な動作機能の向上を担う


・米中が主導するソフトウェア開発競争に対し日本が得意とする高精度なハードウェア技術を統合することで純国産ロボットの国際競争力強化を目指す


 自然災害への対応や労働人口の減少という深刻な課題を抱える現代社会において、ヒューマノイド(人型ロボット)への期待はかつてないほど高まっている。「人間と同じ道具を使い、人間と同じように動ける」ヒューマノイド。

その汎用性は、災害救助、製造現場、建設現場、介護・医療現場など、あらゆるシーンに及ぶ。極限環境下での危険作業を代行できることからも、「究極のソリューション」と目されている。とくに昨今のAIの急速な進化と連動して、世界各国でヒューマノイドロボット開発競争が激化しており、米国のテスラやFigure AI、さらに中国のメーカー勢が、大規模言語モデル(LLM)を組み込んだ自律型ロボットを次々と発表。連日のようにニュースサイトを賑わわせている。しかし、現在のヒューマノイド開発はソフトウェア主導のものが主流で、複雑な動きを支える高精度なハードウェアの統合的な基盤については、依然として課題が残っているのが現状だ。


 そんな中、京都から、ヒューマノイドの未来を塗り替える壮大なプロジェクトが動き出している。日本発・純国産のヒューマノイドロボット開発を推進する産学連携の新団体として2025年に設立された「KyoHA(京都ヒューマノイドアソシエーション)」だ。日本はかつて、ホンダの「ASIMO」に代表されるように、二足歩行技術で世界をリードしていた。ところが、近年の商用化フェーズでは、ソフトウェアと資本力に勝る米中に先行を許しているのが実情だ。とはいえ、その一方ではロボットを構成する精密部品(センサー、モーター、減速機など)においては、依然として日本企業が世界トップシェアを守っている。これらの「点の技術」を「線の産業」へと統合し、日本のロボット開発競争力を高め、世界のヒューマノイドロボット市場で再び圧倒的な存在感を示すことが、現在の日本の急務となっている。


 早稲田大学、株式会社テムザック、株式会社村田製作所、SREホールディングス株式会社によって設立されたKyoHAは、バラバラだった日本の高度なハードウェア技術を結集し、純国産のヒューマノイドロボット開発を推進することで、日本のロボット開発競争力を高めることを目的とした団体だ。

特定の1社が開発するのではなく、各分野のスペシャリスト企業が協力し、「オールジャパン」で世界標準の機体を生み出すことを目指している。


 例えば、テムザックは、技術全体の構想・試作・検証を担当し、長年のワークロイド開発の知見を活かし、実用的な人型ロボットの形を具現化する。また、村田製作所は得意とするセンサー・通信技術を提供することで、ロボットの高精度な姿勢制御や安定かつ高速な通信の実現を担っている。


 設立以降、複数の企業が参画を表明しており、直近の2026年1月には、新たに住友電気工業株式会社、ローム株式会社が加わった。半導体大手のローム株式会社は、ロボットの効率的な電力制御と高度な動作機能を支えるためモーターや電源の高効率化を担う「パワー半導体」や、ゲートドライバ、モータドライバ、PMIC(パワーマネジメントIC)といった「アナログ半導体」を提供し、より高出力で高機能なヒューマノイドの開発に協力している。


 AIという「頭脳」が進化を遂げている今、それを物理的に自在に動かす「身体(ハードウェア)」の完成度が、次なる覇権争いの鍵となるだろう。京都から始まったこの挑戦は、日本のモノづくりの矜持を取り戻し、人がロボットを適切に使う社会を実現するための大きな一歩となるのではないだろうか。(編集担当:エコノミックニュース編集部)

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