今回のニュースのポイント
・「調整局面」への直面:2024年の開始以来、比較的堅調だった相場に変化が見える中、含み益の減少による心理的動揺が個人投資家の間で広がっている実態。
・3年目の心理的障壁:投資開始から一定期間が経過し、利益を確定させたい誘惑と、損失を過大に恐れる「プロスペクト理論」による脱落が顕在化しやすい時期。
・出口戦略の再確認:目先の乱高下ではなく、15~20年後の資金需要を見据えた「航路を守る(Stay the course)」ことの難しさと重要性。
「投資は放置するだけ」。そんな言葉を信じて2024年に新NISAを始めた投資家たちが、今、一つの試練を迎えています。制度開始から3年が経過し、右肩上がりだった相場に調整の兆しが見える中、積み立てを継続できる人と、心理的な不安から「解約」を検討する人の二極化が鮮明になっています。
行動経済学の知見によれば、投資開始から3年前後は、初期の成功体験が揺らぎ、脱落者が増えやすい時期とされています。理由は主に二つあります。一つは、わずかな含み益を失いたくないという「利益確定」の誘惑。もう一つは、メディアが報じる市場の不透明感に過剰反応してしまう「情報バイアス」です。特に2024年という好条件で投資を始めた層にとって、現在の調整局面は「自分の判断が間違っていたのではないか」という自己疑念を生みやすい構造にあります。
ここで利害の所在を整理すると、パニックに陥った個人が安値で手放すことで利益を得る「市場の流動性」に対し、将来の複利効果を自ら手放してしまう「個人投資家」という構図が浮かび上がります。資産形成の成否を分けるのは、特別な情報を持っているかどうかではなく、相場が平時でない時に「当初の計画を維持する」という、極めて難易度の高い心理的制御ができるかどうかにかかっています。
しかし、盲目的な放置が正解とも限りません。
含み益は市場からの一時的な評価に過ぎないという冷静な視点を維持できるか。現在の乱高下は、個人投資家が「資産形成の自立」を果たせるか、それとも市場のノイズに飲み込まれるかを決める、重要な分水嶺となりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部)

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