今回のニュースのポイント


・日本マイクロソフトが2019年に実施したトライアルでは、通常給与を維持したまま、1人あたりの売上高(生産性)が前年同期比で39.9%向上しました。


・東京都では2025年度から都庁職員向けに「選択的週休3日制」を導入する方針を打ち出しており、人手不足対策を目的とした公的セクターでの導入も広がっています。


・厚生労働省の調査や人事専門家の分析では、休日増と並行した評価制度の再設計やIT活用が行われない場合、1日あたりの業務負荷増大や顧客対応の停滞を招くリスクが指摘されています。


 人手不足や長時間労働が構造的な課題となる中、企業の生産性向上に向けた新たな選択肢として「週休3日制」が注目されています。代表的な先行事例として挙げられるのが、日本マイクロソフトが2019年夏に実施した「ワーク・ライフチョイス チャレンジ 2019」です。


 このトライアルでは、全正社員約2,300人を対象に、8月のすべての金曜日を特別有給休暇とし、週勤4日制を実施しました。給与水準を維持したまま行ったこの試行の結果、1人あたりの売上高で算出される生産性は前年同期比で39.9%向上したと同社より報告されています。ただし、同社は、この数値が週休3日制のみの効果ではなく、ITツールの活用を含む複数の働き方改革施策の組み合わせによるものだと説明しています。


 この成果の背景には、単なる勤務日の削減ではなく、徹底した「働き方の設計変更」があります。同社は制度導入に合わせて、会議時間を原則30分以内に短縮し、参加人数も「標準5人まで」とするガイドラインを設けました。さらに、オンライン会議(Microsoft Teams)の活用を推奨したことで、紙の印刷枚数は58.7%減、オフィスの電力使用量は23.1%減となるなど、環境負荷とコストの両面で効率化が確認されています。


 政府の「経済財政運営と改革の基本方針2025」や厚労省の働き方・休み方改善ポータルの事例集では、選択的週休3日制を人材確保や離職率低下の手段として位置づける企業・自治体が増えているとされています。内閣府や東京都などの自治体では、2025年度から都庁職員向けに選択的週休3日制を導入する方針を打ち出しており、採用競争力の向上を狙った公的セクターでの動きも活発化しています。


 一方、厚生労働省の就労条件総合調査や社労士による解説では、評価制度や業務配分を見直さずに休日だけ増やすと、1日あたりの業務負荷増大や顧客対応の停滞につながるリスクがあると指摘されています。

人事コンサルティング各社や労働研究機関のレポートでは、週休3日制を成功させるには「成果ベースの評価制度」や「業務の非同期化(リアルタイムでない情報共有)」といった、ITツールを前提とした業務プロセスの再構築が不可欠であるとの見方が示されています。(編集担当:エコノミックニュース編集部)

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