今回のニュースのポイント


・年間3万トンの副産物を活用: 日本酒の製造過程で必ず発生する酒粕は国内で年間約3万トンにのぼり、食品ロス削減(アップサイクル)の観点から活用が急務となっています。


・「腸活」需要と栄養価: アミノ酸、食物繊維、ビタミンが豊富な発酵食品として、美容や健康、腸内環境改善を意識する層から「高機能な新素材」として注目を集めています。


・異業種コラボと受賞実績:イスズベーカリーが白鶴酒造とのコラボレーションをして完成させた酒粕食パンが農林水産大臣賞を受賞するなど、製パン・製菓業界での活用が成功事例として広がっています。


日本酒造りの副産物として知られる「酒粕」が、食品素材として改めて注目されています。かつては粕汁や奈良漬けなど限られた料理に使われることが多かった酒粕ですが、近年はパンやスイーツ、調味料などさまざまな食品に活用されるようになりました。発酵食品ブームや健康志向の高まりに加え、食品ロス削減を意識した「アップサイクル」の流れも広がり、酒粕の価値が見直されています。


 酒粕は、日本酒の醪を搾った後に残る米や麹、酵母などの固形分です。発酵によって生まれたアミノ酸や食物繊維、ビタミンなどを含み、栄養価の高い食品として知られています。腸内環境を整える食品としても関心が高まり、酒粕を取り入れた「腸活」も美容、健康といった観点から再評価が進んでいます。


 国税庁の清酒製造統計などによると、日本国内で年間に生まれる酒粕はおよそ3万トン規模にのぼります。日本酒を造る限り必ず生まれる副産物であり、その活用は酒造業界にとっても重要なテーマになっています。


 近年は酒粕を食品素材として活用する取り組みも広がっています。その一例が、神戸の酒蔵 白鶴酒造の酒粕を使ったパンです。神戸の老舗ベーカリー イスズベーカリーは、地元神戸の大吟醸酒粕を生地に練り込んだ食パン「灘五郷」を開発しました。

ほんのりとしたお酒の香りと米由来のやさしい甘みが特徴で、パン職人の大会でグランプリ(農林水産大臣賞)を受賞したことでも知られています。


 酒粕を生地に加えると、発酵によって生まれた旨味や香りがパンの味わいにコクを与え、しっとりとした食感を生むといわれています。原材料に酒粕を使っているので、同じ発酵食品である味噌、納豆、醤油、チーズなどと好相性です。


 酒粕の用途はパンや菓子だけではありません。調味料や健康食品などさまざまな商品に広がっています。発酵食品への関心とサステナブル志向が重なる中で、日本酒の副産物だった酒粕は、いま新しい食品素材として存在感を高めつつあります。(編集担当:エコノミックニュース編集部)

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