今回のニュースのポイント


・「額面」は維持でも「価値」は低下: 日本の家計資産のおおむね5割(1,100兆円超)が現預金です。2023~2024年にかけてインフレ率がおおむね3%前後で推移した一方、普通預金金利が0.2%前後にとどまれば、購買力(そのお金で買えるモノの量)は実質的に目減りしていきます。


・新NISAが牽引する「投資へのシフト」: 新NISA口座の残高は1年でおよそ1.9倍に急増。投資信託の残高も前年比で2割超の伸びを見せており、「貯金一辺倒」からリスク資産を組み合わせた運用の多様化が進んでいます。


・時間軸による「預金と投資」の使い分け: 生活防衛資金は元本保証の「預金」で確保しつつ、10年単位の長期資金はNISAやiDeCoで「運用する」。インフレ環境下では、この時間軸に基づいたポートフォリオ設計が家計の安定性を保つための有力な選択肢とされています。


 「通帳の数字は減っていないのに、なぜか生活に余裕がなくなっている」——この感覚の正体は、物価上昇が預金金利を上回り、現金の「実質的な価値」が削られていることにあります。日本の家計金融資産は2,000兆円を超え、そのおおむね5割(1,100兆円超)を現金・預金が占めていますが、約30年ぶりとなる本格的なインフレ環境が、この「貯金偏重」の構図に再考を迫っています。


 2023年から2024年にかけて、日本のインフレ率はおおむね3%前後で推移してきました。一方、日銀の政策転換を経てメガバンクの普通預金金利がようやく0.2%前後に引き上げられ始めた段階です。この「金利よりも物価の方が高い」状態は、100万円を預けていても、そのお金で買えるモノの量が1年後には実質的に約2~3万円分少なくなっていることを意味します。


 こうした背景から、家計の行動にも変化の兆しが見られます。特に新NISA(少額投資非課税制度)の普及は目覚ましく、口座残高は1年でおよそ1.9倍に増えました。投資信託の残高も前年比で23.3%増(2024年9月末時点)と急増しており、現預金の一部を成長期待のある株式や投資信託へ振り分ける「資産の入れ替え」が着実に進んでいます。


 今、家計において検討すべきとされているのは、資産を「目的」と「時間軸」で色分けすることです。半年から1年分の生活費や数年以内に使う予定のある資金は、元本保証の「預金」で守る。一方で、10年以上先の老後資金や教育資金は、iDeCoやNISAを活用し、インフレ耐性のある株式や投資信託などで「運用する」仕組みを作る。


 日本の家計は依然として現預金比率が高いため、インフレ環境下で「貯金だけでは不安」という直感を抱くのは経済的に合理的な側面があります。その不安を背景に、少額からでも「長期・積立・分散」の投資を組み合わせることは、価値の目減りを防ぎ、将来の購買力を維持するための有力な選択肢とされています。(編集担当:エコノミックニュース編集部)

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