今回のニュースのポイント:


・世界で共通する「失効」現象: 海外のロイヤルティ調査では、ポイントの約4分の1(26.2%)が使われずに滞留し、約12%が失効していると報告されている。


・企業側の「ブレイケージ」戦略: 多くのプログラムで、2~3割程度の未利用(ブレイケージ)を見込んで設計するケースもあるとされ、未使用分は企業の利益に寄与する構造がある。


・「別財布」が生む実質還元率の低下: 複数の民間調査によれば、国内のポイント市場は約2.1兆円規模とされ、1人あたり年間で数千円から1万円前後が「値引き漏れ」になっていると見積もられる。


「あのお店のポイント、期限が切れていた」。


レジ前でそう気づいて肩を落とする経験は、誰にでもあるはずです。海外のロイヤルティ調査によれば、ポイントの約4分の1(26.2%)が使われずに滞留し、約12%が失効していると報告されており、「貯めたのに使わない」現象は世界的に共通する課題です。日本でもポイントカードやアプリが乱立した結果、所有していること自体を忘れたり、残高や期限を正確に把握できていないことが、失効の大きな要因となっています。


複数の民間調査によれば、国内のポイント市場は約2.1兆円規模とされ、生活のあらゆる場面で「還元」が行われています。しかし、多くの制度には「発行から6か月」などの有効期限や、最低利用単位といった制約が設けられています。こうした条件により、「もう少し貯まってから使おう」と先送りするうちに期限を迎え、小額のまま消えていくポイントが多数発生しています。


実は、ロイヤルティ業界には、失効や未使用となるポイントを「ブレイケージ(breakage)」と呼び、あらかじめ20~30%程度の未利用を見込んでプログラムを設計するケースもあるとされています。企業側から見れば、未使用ポイントは「将来のコストにならなかった割引」であり、販促効果や決済手数料収入などのメリットだけを享受しつつ、実際の支出(割引)を抑えられる巧妙な仕組みとも言えます。


こうした構造は、消費者が考える以上に家計に影響を及ぼしています。英国の調査では、失効・未使用ポイントによる損失額は年30億ポンド(約5,700億円)に達し、米国でも年間100億ドル相当が使われないとの推計があります。

日本の市場規模に単純試算を当てはめると、1人あたり年間で数千円から1万円前後が「気づかない値引き漏れ」になっていると見積もられます。消費者は「ポイントで得をした」と感じていても、失効分を差し引いた実質的な還元率は、提示されている数字より低くなっているケースが実際に見られています。


行動経済学の研究では、人はポイントを現金と同じ価値として扱わず、「別財布」として軽く見たり、少額だと使う手間を惜しんだりする傾向があるとされています。この心理的バイアスこそが、企業の「ブレイケージ」を支える要因となっている側面があります。


今後、ポイントを真に家計の足しにするためには、管理の簡素化が不可欠です。利用するポイントを主要な2~3種類に絞り込み、少額でも「貯めるより早く使う」というルールを徹底すること。そして、定期的に保有ポイントを「現金同等物」として棚卸しし、家計の一部として再認識すること。こうした意識的な管理こそが、企業の利益に回ってしまいがちなポイントを、確実な家計改善へとつなげるための重要な鍵になると考えられます。(編集担当:エコノミックニュース編集部)

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