今回のニュースのポイント


・生活費の「物差し」としてのCPI: 総務省の統計では2025年の日本の消費者物価指数(総合)は111.9(2020年=100)。これは平均的な物価水準(生活費)が5年前より約12%高くなっていることを示している。


・「コア」と「新コアコア」の違い: 変動の激しい生鮮食品を除く「コアCPI」や、さらにエネルギーも除いた「新コアコアCPI」など、物価の真の基調を見極めるための指標が重視されている。


・賃金と金利への影響: 物価上昇に賃金が追いつかない「実質賃金マイナス」が家計を圧迫。日銀はCPIの持続性を見極め、現在の政策金利(0.75%)の調整を判断する局面にある。


 「最近、買い物に行くたびに支払額が増えている」。そうした実感を数字で裏付けるのが、総務省が公表する「消費者物価指数(CPI)」です。


 CPIは、一般の家計が購入するモノやサービスの価格変化を全体として示す指標で、いわば「生活費の物差し」です。2025年の日本の消費者物価指数(総合)は、2020年を100とした基準で111.9となりました。これは、平均的な物価水準(生活費)が5年前と比べて約12%上昇したことを意味しており、ニュースで報じられる「インフレ率○%」の根拠となっています。例えば、5年前に1万円で買えた生活用品が、現在は約1万1,200円必要になる計算です。


 CPIは、食品、住居、光熱費、教育、レジャーなど、世帯が日常的に購入する「買い物カゴ(バスケット)」の中身を想定し、その合計金額の変化を指数化しています。統計では、天候に左右されやすい「生鮮食品を除く(コアCPI)」や、さらに補助金などの影響を受けやすい「エネルギーも除いた(新コアコアCPI)」など、物価の真の勢いを測るための複数の指標が使い分けられています。特にコアCPIは、日本銀行が金融政策の判断材料として重視する指標として知られています。


 2024年から2025年にかけて、日本のコアCPIは前年比でおおむね2~3%台で推移しました。政府の電気・ガス代補助金によって数字が上下する場面もありましたが、サービス価格や日用品など、日常的な品目の値上がりが物価を押し上げる「基調的なインフレ」が定着しつつあります。


 しかし、この物価上昇は家計にとって諸刃の剣です。物価が3%上がっても、賃金の伸びがそれ以下であれば、実質的な購買力は低下する「実質賃金の目減り」が起こります。日本では2025年までこのマイナス状態が続き、消費者の生活防衛意識を強める要因となりました。日本銀行は「2%程度の物価安定」を目標に掲げており、CPIの推移と賃金上昇のバランスを見ながら、現在の政策金利(0.75%)を引き上げるかどうかの難しい判断を迫られています。


 日銀の最新の展望レポートでは、2026年度にかけて物価上昇率はおおむね2%程度で推移するとの見通しが示されています。今後は、エネルギー価格の一時的な変動に惑わされず、「コア」や「新コアコア」といった指標を冷静に見比べることが重要です。“家計が感じるインフレ”と“政策判断の材料となる物価の基調”を分けて理解することが、これからの資産形成や生活設計においていっそう求められる重要な視点となっています。(編集担当:エコノミックニュース編集部)

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