今回のニュースのポイント


•値上げの“中身”を可視化: 2026年2月のCPI内訳では、菓子類が前年同月比8.1%、穀類が7.3%上昇するなど、食料品の上昇が突出しています。これらは日々の買い物で繰り返し目にする価格であるため、家計の「体感物価」を押し上げやすい特徴があります。


•頻度の高い支出ほど負担増: 食料や外食など、購入頻度の高い「毎日触れる価格」が上昇していることで、総合指数以上の体感物価を押し上げています。


•サービス価格もじわり上昇: 外食が3.7%上昇するなど、原材料高に加え人件費の上昇を背景とした値上げが広がる構造が鮮明になっています。


 総務省が令和8年3月24日に発表した2026年2月の全国消費者物価指数(CPI、2020年=100)は、総合指数が112.2となり、前年同月比では1.3%の上昇を記録しました。物価の上昇傾向そのものは継続しているものの、前年同月比の伸び率は2025年12月の2.1%から、1月の1.5%、そして今回の1.3%へと明確な鈍化傾向を辿っています。統計上は、物価は高止まりしつつも、インフレ率の伸びはピークを越えつつある段階に入り始めています。


 今回の指数において、物価を押し上げる主な要因となったのは食料品やサービス価格です。具体的には菓子類が前年同月比で8.1%上昇、穀類が7.3%上昇したほか、外食も3.7%の上昇となるなど、家計に身近な品目の値上がりが目立っています。その一方で、全体の指数を1%台前半にまで抑え込んだのは、エネルギー関連価格の下落です。電気代が前年同月比で8.0%下落し 、ガソリンも14.9%の下落を記録したことに加え 、生鮮野菜(9.0%下落)や生鮮果物(10.7%下落)の大幅な値下がりも重なったことで 、総合
指数の上昇幅は大きく抑制される形となりました。


 物価の実勢を捉えるためには、一時的な変動要因を除いた指標の動きを注視することが重要です。生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)は111.4で前年同月比1.6%の上昇となっており 、総合指数の1.3%を上回る伸びを示しています。さらに、日銀が基調的な物価動向の手掛かりとして重視する指標の一つである「生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)」は111.5で、前年同月比2.5%の上昇という高い水準を維持しています。

これは、日用品や外食、各種サービスなどの基調的な物価において、依然として2%台半ばの強い上昇圧力が残っていることを意味しており、エネルギー安という外部要因を除けば、家計の負担感はなお強いのが実態です。


 CPIの伸び率が鈍化することは、これまで続いてきた実質賃金の減少に対し、家計の購買力が今後回復に向かうための一つの前提条件となり得ます。しかし、食料や外食など頻繁に購入する品目の値上がりが続いている以上、生活実感としての厳しさが直ちに解消されるわけではありません。また、今回の押し下げ要因であるガソリンや電気代は、燃料油価格激変緩和措置や電気料金の政策的な調整、税制変更といった要因の影響も大きく 、今後の政策変更や国際情勢次第で再び物価を押し上げるリスクを孕んでいる点には留意が必要です。


 今後の焦点は、頻繁に購入する食料や外食の値上がりがどこまで続くかです。賃上げが広がっても、こうした日常支出の上昇が続けば、生活実感としての負担感は残りやすくなります。あわせて、日本銀行がコアコア指数の2.5%という伸びを、安定的なインフレ目標達成に向けた持続的な動きと見るのか、それとも一時的要因に左右された面もあると慎重に評価するのかによって、次なる金融政策のスタンスに影響を与える可能性があります。今回のCPIは、数字だけでは見えない“生活実感とのズレ”をどう埋めるかが、今後の経済の焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部)

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