今回のニュースのポイント


路面店の客足は2~3割程度減少:小売業の各種調査では、雨天時に商店街や路面店の客足が平常時から2~3割程度落ち込むケースも報告されており、特に飲食店やアパレルなどの「ついで立ち寄り型」の店舗ほど影響を受けやすいとされています。


米国EC市場は雨だけで約87億ドルの押し上げ:Adobe Digital Economy Indexの分析では、悪天候が2023年の米国ECを年間で約135億ドル押し上げ、そのうち雨による要因だけで約87億ドルを占めると推計されています。


「ついで買い」から「指名買い」へのシフト:街中での衝動買いが抑制される一因となる一方、その一部がオンライン消費や近場のコンビニでの目的買いとして吸収される「消費チャネルのスライド」が起きています。


 雨の日は、人の移動や街への「足」が確実に鈍ります。小売業界の各種調査によれば、雨天時は商店街や路面店の客足が平常時より2割から3割程度減少するケースも報告されており、特に飲食店やアパレルなど、歩いている途中に“ついでに立ち寄る”タイプの店舗では売上が顕著に落ち込みやすい傾向にあります。大型のショッピングモールのような屋内施設には一定の顧客が流れる傾向がある一方で、個別の路面店舗では客足の減少が避けられず、外出控えに伴う「予定外の支出」が物理的に抑制されやすくなります。


 雨の日に特に減りやすいのは、外出を前提とした変動費です。わざわざ雨の中を出かける心理的ハードルが上がることで、外食やカフェの利用頻度が低下するほか、アパレルや雑貨店を「見て回る」といった回遊型の買い物が手控えられ、結果として衝動買いの機会も減少します。さらに、通勤や必須の用事以外の外出が控えられることで、公共交通機関の利用回数や自家用車のガソリン消費も抑えられます。こうした移動に伴う物理的なコストの減少が、雨の日の支出抑制に大きく寄与しています。


 しかし、消費活動そのものが完全に停止するわけではありません。外出機会が減少した分、消費の場は「家の中」や「極めて近場」へと移動します。遠くのスーパーやディスカウントストアへ行くのを避け、最寄りのコンビニで済ませようとする行動が増えることで、相対的に単価の高いコンビニ消費が一時的に増加しやすくなります。より顕著なのは、オンライン支出へのスライドです。

Adobe Digital Economy Indexの分析によれば、雨・雪・風といった悪天候が2023年の米国EC(電子商取引)を年間で約135億ドル押し上げ、そのうち雨による要因だけで約87億ドルを占めると推計されています。英国の同指数分析でも、雨の日はオンライン支出が通常より最大4.4%増え、特に週末の雨天時には平常時より約12%増加するという結果が示されており、外で使われなかった予算がデジタル空間での消費に転換されている構図がうかがえます。


 雨の日の消費構造を整理すると、外出機会の減少が路面店やレジャー支出を押し下げる一因となる一方で、消費の場が屋内やデジタル空間へとシフトしています。移動距離が短縮されることで交通費が浮く代わりに、フードデリバリーやECの利用が増えるという「支出項目の入れ替わり」が起きています。個人の家計という視点で見れば、雨の日は「何となく街を歩いて使ってしまうお金」が抑えられやすい日であると言えます。その代わり、事前に計画していた生活必需品のまとめ買いや、自宅での時間を充実させるためのコンテンツ消費など、より目的意識の強い「指名買い」に予算が割かれる傾向があります。


 「雨の日は出費が減る」という通説は、対面消費の観点では概ね正しいと言えますが、オンライン消費を含めたトータルでは必ずしもそうとは限りません。自分のキャッシュレス決済履歴やカード明細を振り返ってみると、外出の交通費は抑制されたものの、デリバリーの配送料やネット通販での支出が増えていたといった自分固有のパターンが見えてくるはずです。天候による行動変化が自身の財布にどう影響しているかを知ることは、単なる節約術を超え、無意識の消費行動を客観的に把握するための有効な手段となります。自身の消費パターンを意識的に管理することは、天候に左右されない合理的な家計運営を行う上で有効と考えられます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)

編集部おすすめ