今回のニュースのポイント


「体験型消費」が一段と存在感を増す:ネットショッピングにおける旅行やチケット支出が前年比で2桁増を記録しています。


価値観が「所有」から「特別な時間」へ:モノの普及が一巡し、所有することよりも自分らしさや思い出を重視する傾向が強まっています。


物価高下での「二極化」が鮮明に:日常の節約を徹底する一方で、ライブやイベント等の非日常体験には投資を惜しまない「メリハリ消費」が定着しています。


 「モノは我慢するが、旅行やライブには行く」。物価高が続く厳しい家計状況のなかで、こうした消費の優先順位の変化が鮮明になっています。総務省「家計消費状況調査」を基にした民間の分析によると、二人以上の世帯におけるネットショッピングの2024年名目増減率は、「旅行関係費」が15.5%、「チケット」が13.7%と、他の項目を大きく上回りました。足元でも「チケット」関連の支出が伸びており、消費の中でもモノに比べて体験への支出が一段と存在感を増していることがうかがえます。


 この背景には、まず「モノの充足」があります。家電や日用品はすでに多くの世帯に行き渡り、機能面での劇的な進化も落ち着きを見せているため、追加購入や買い替えの動機が以前よりも弱まっています。一方で、SNSでの共有文化が定着したことで、若年層を中心に「行ったこと」「見た景色」が自己表現の重要な要素となりました。推し活や没入型イベントなど、その時その場所でしか味わえない「トキ消費(時間そのものへの支出)」の価値が高まり、思い出やストーリー性を伴う支出が優先される傾向にあります。


 さらに、物価高という環境が「メリハリ消費」を加速させています。日常の食費や日用品は徹底して節約し、浮いた予算を非日常の体験に投じるというスタイルが定着しました。企業側もこの変化に対応し、商品そのもののスペックよりも、店舗での空間演出やデジタル活用による利便性といった「顧客体験(CX)」を重視する方向へシフトしています。

その結果、中間価格帯の標準品よりも、高付加価値な体験型商品と低価格ラインに人気が集まる傾向が強まりつつあり、価格帯の二極化が進む可能性があります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)

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