街から銭湯が消えそうだ。厚労省のデータを見ると公衆浴場数は2万5000軒前後を維持しているが、街中の銭湯は減少の一途だ。
4月23日に東京商工リサーチが「街の銭湯、ピークから1万6000軒減少」というレポートを公表している。日本独自の文化を形成し、衛生水準の向上に大きく貢献してきた銭湯であるが、各家庭に風呂が普及したことや銭湯設備の老朽化、燃料高騰、後継者不足など経営環境は厳しさを増しており、その数は68年に1万7999軒とピークに達した後、91年には9704軒と1万軒を切り、06年には4947軒と5000軒を下回って、今年4月1日現在ではピークから1万6134軒減少して1865軒となり、ピーク時の10分の1まで減少している。銭湯経営は厳しい状況にあるというものの銭湯の倒産はわずかで、そのほとんどが廃業か転業となっており、21年度の倒産は1件(負債1000万円以上)のみだ。過去20年間でも銭湯の倒産は06年と07年の9件がピークで10件を超えていない。
しかし、今後さらに銭湯の倒産・廃業は加速しそうだ。新型コロナの感染拡大も追い打ちをかけており、三密回避の広がりで「入浴客が約2割落ち込んだ」(銭湯の関係者)との声も聞かれる。さらに、コロナやウクライナ侵攻、円安の加速の影響で燃料の重油やガスなどが高騰。銭湯は客数に関係なく一定の固定費が掛かり、こうした経費が燃料高騰などで上昇して経営をさらに圧迫している模様だ。入浴料の決定には審議会などの議論が必要で時間がかかり、燃料急騰が入浴料と燃料費のギャップを拡大し経営悪化に拍車をかけているようだ。銭湯は高齢化社会の中で地域に根ざす「ふれあいの場」としての役割も期待されているが、「いまのペースで廃業が続くと、2032年には全国の銭湯は1000軒を下回る可能性がある」とレポートは予測している。

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