公正取引委員会は18日、今年10月1日から始まるインボイス制度を前に、一部発注業者が経過措置で一定範囲で仕入税額控除が認められるにもかかわらず、取引先の免税事業者にインボイス制度実施後も課税事業者に転換せず、免税事業者を選択する場合、消費税相当額を取引価格から引き下げると文書で伝えるなど、一方的に通告を行った事例があったとして独占禁止法上問題となるおそれがあると注意喚起した。
公取によると発注事業者と取引相手との問の注意事例では「イラスト制作業者とイラストレーター」「ハンドメイドショップ運営業者とハンドメイド作家」「人材派遣業者と翻訳者・通訳者」「電子漫画配信取次業者と漫画作家」「農産物加工品製造業者と農家」の間であったとし、優位な立場にあった発注者が一方的に要求していた。
インボイス制度のスタート後も、免税事業者からの課税仕入れについては、実施後3年間は仕入税額相当額の8割、その後3年間は5割控除できる経過措置が設けられている。ただ、実際の取引では免税事業者であり続けると大手など取引先の課税事業者から継続的に受注できるか、取引更新ができなくのではと不安になり、少額売上でも課税事業者に登録するケースも多いようだ。インボイス制度は課税事業者になることは任意としながらも、経済取引実態ではほぼ強制になっている。小さな商店やフリーライター、イラストレーターなどへの影響は大きい様。(編集担当:森高龍二)

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