原油価格の高騰やウクライナ情勢などの様々な影響を受けて、電気料金の値上がりが続いている。さらに政府は5月16日に開かれた閣僚会議で大手電力7社(北海道、東北、東京、北陸、中国、四国、沖縄)の家庭向け電力の値上げ申請を承認。
その影響で、省エネや節電への関心がますます高まっている。これまでにも原発停止後の電力不足や、コロナ禍で自宅時間が増えたことなどで、省エネや節電を心がける人は増えていたが、電気料金の高騰で拍車がかかっている状況だ。十分節電しているつもりでも、日常的に使用している家電の使い方を改めて見直してみると、消費電力を減らし、節電できるところがまだ見つかるかもしれない。
これから夏本番を迎えるにあたり、私たち個人一人ひとりとしては「エアコンの設定温度を高めに調整する」ことや「古い家電から省エネ性能の優れた家電に買い替える」、「洗濯機に定められた容量の80%くらいの洗濯物を入れて洗濯をする」、「冷蔵庫には食料品を詰め込み過ぎない」などのちょっとした心がけで、年間の電気料金を抑えることができる。
家庭内の節電は既にやり尽くしているという場合は、電力会社の乗り換えも検討すべきだろう。電気料金を減らせるかどうかは、契約プランなどにもよるが、オプションや特典をうまく組み合わせることで、結果的に家計の支出を抑えられるかもしれない。
また、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス/通称・ゼッチ)も注目を集めている。ZEHとは、高い断熱性能をベースに、HEMS(Home Energy Management System)や最新の設備機器による徹底した省エネ化と、太陽光発電などの再生可能エネルギーによる創エネなどを組み合わせることで、住宅の一次エネルギーの年間消費量が正味でおおむねゼロになる住まいのことだ。当然、設備投資は必要になるものの、政府の補助金制度も設けられているので普及が進んでいる。
例えば、業界でもいち早くZEH住宅の普及に取り組んできた積水ハウスでは、2022年度の新築戸建住宅におけるZEHの比率が93%と過去最高を更新し、2023年 3月末時点で累積76,509棟になったという。
家庭の中を見渡せば、節電の工夫ができる部分がまだあるにしても、電気料金の高騰は厳しく、住まい手に我慢を強いることになる。ZEHなど、創エネや省エネなど環境性能に優れた住宅に住み替えることで、日常の生活の中で常に意識をせずとも、環境によい暮らしができる。中長期的な視点でZEHへの住み替えは選択肢の一つになり得るのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)