未だ世界中を混乱の中に貶めている新型コロナウイルス感染拡大の影響で、自動車産業においても、世界規模で新車の販売台数のマイナス成長が予測されるなど、大きな痛手となっている。
しかし、その一方で、欧州自動車工業会(ACEA)が興味深い発表を行っている。
2019年に世界最大のEV市場となった中国では、コロナの影響に加え、昨年の反動もあってか、大きな落ち込みを見せているものの、世界的な視野で見れば、xEVはネット販売にも強い傾向があるといわれており、コロナ禍の影響で一気にシェアを広げる可能性も高いのではないだろうか。
そんな中、日本の電子部品メーカーのロームが、最新のEVの普及を後押しする「1200V 第4世代SiC MOSFET」の開発を発表し、業界で大きな注目を浴びている。
バッテリーの高電圧化が進むEV市場では、現在主流で使われているSi(シリコン)パワーデバイスよりも、高耐圧かつ低損失が実現できるSiC(炭化ケイ素) パワーデバイスに大きな期待がよせられるようになってきた。
同社が今回開発した新製品は、従来品と比べて単位面積当たりのオン抵抗を約40%低減することに成功。さらにスイッチング時の課題となっていた寄生容量を大幅に削減したことで、従来品と比べてスイッチング損失を約50%削減することにも成功している。簡単にいえば、これまでの第3世代よりも低消費かつ高速スイッチングが可能で、より高電圧でも使いやすいSiC MOSFETなのだ。
ロームは2015年に世界で初めてトレンチ構造を採用したSiC MOSFETの量産化に成功するなど、SiCパワーデバイスでは世界的なリーディングカンパニーとして知られている。今回の製品の肝となっている技術も、同社だからこそ成し得たものと言えよう。
同社では、この第4世代 SiC MOSFET を開発したことで、既存市場に加え、xEVなどの主機インバータを中心に採用を加速させていくという。
この第4世代 SiC MOSFETは、車載用途だけでなく、産業機器などの様々なアプリケーションにおいても用いることが可能だ。次世代デバイスとして、かねてより期待されていたSiC MOSFETだが、今回の製品が登場したことによって、業界では本格的な普及が進むと見込まれている。あらゆる機器類の劇的な小型化、低消費電力化が進み、環境問題の解決にも貢献しそうだ。(編集担当:今井慎太郎)











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