冬柴鐵三国土交通大臣を本部長とする「道路関係業務の執行のあり方改革本部」は道路特定財源の支出を検証する最終報告書をとりまとめ、今後取り組むべき改革策を福田康夫首相に報告。改革への取組の実効をあげるため、改革内容を監察官による特別監察などの対象とし、かつ、改革本部は存続させ、監視を継続していくとの強い意思を示した。
改革策は道路関係公益法人に対する契約方式の適正化、支出の削減、業務や組織形態の見直し、役員数、総人件費の抑制、情報公開の徹底、内部留保の適正化、福利厚生費支出の適正化などにわたる。また、タクシーチケットのずさんな管理やマッサージチェアの購入など、支出のあり方で国民から強い批判を浴びた地方整備局などについても7点にわたり改革策を示した。 それによると、平成18年度に道路整備特別会計から1件あたり500万円以上の支出がなされた同省所管の公益法人は50法人あり、支出の総額は673億円にのぼっていた。その内訳は工事の監督補助などの業務補助が全体の63・3%(426億円)を占め、調査研究(現場業務と直接関わらないもの)が28・8%(194億円)、業務に関するデータの収集、管理などが8・0%(54億円)になっていた。ほかにも道路特定財源を活用して一般会計からの支出が行われていた。また、673億円のうち、94・3%にあたる635億円は特命随意契約により執行されていた。 改革本部は、これらを踏まえて、今年度から随意契約で行われてきた業務を原則として競争性の高い契約方式にかえ、民間参入を促進するための環境整備を進めるとともに、契約方式、価格などの入札経過に関する情報、業務の具体的内容などの情報開示に努める。 また、道路関係公益法人への支出について、今年度から、一部の公益法人への支出を取り止めにすることにより18年度実績比で18億円削減。調査研究業務や行政の補助業務など民間企業の参入可能なものについて分離発注するなどして230億円を削減。業務内容の見直しによるコスト削減で40億円を削減するとした。加えて、平成22年度までに特命随意契約(平成18年度実績で94%)を4%にまで引き下げ、競争性の高い契約方式を推進することにより、支出を18年度比で半減以上削減することを目指すとしている。 業務や組織形態の見直しでは財団法人駐車場整備推進機構、財団法人道路経済研究所は平成21年度中に解散へ。
財団法人道路開発振興センターは21年度から新規事業を停止。財団法人海洋架橋・橋梁調査会と財団法人道路保全技術センターはスリム化して21年度中に統合(海峡横断プロジェクト調査は実施しない)。財団法人道路環境研究所と財団法人道路空間高度化推進機構は21年度中にスリム化して統合する。 このほか、今年度から財団法人河川情報センターをはじめ財団法人自動車検査登録情報協会など15法人への道路整備特別会計からの支出を取り止める。また、建設弘済会(8法人)と財団法人公共用地補償機構、社団法人九州地方計画協会の合わせて10法人は株式会社化も視野に非公益法人化することとし、22年度中に移行を完了させる。また、財団法人道路管理センターや財団法人先端建設技術センターなど4法人は22年度中に一般法人化する。こうした改革を実行することにより、道路関係の公益法人は50法人から16法人になる、としている。 ついで、道路整備特別会計からの支出を行わない法人などを除く、残りの法人について、役員数や役員給与の抑制に努めさせるとし、国家公務員出身の役員在任は65歳までにする。ただ、「理事長や副理事長、あるいはこれらに相当する職にあるものは70歳までとすることができる」と歯切れが悪い。さらに「役員(理事長などの職にあるもの)の知識や法人の業務運営上、特に必要であると大臣が認める場合はこの限りでない」と定年制が理事長や副理事長、これに相当する職にあるものについては骨抜き状態にされる危険性は否めない。 役員給与については60歳を超えて在任する国家公務員出身者の場合、社会的な理解が得られるよう3割から5割の削減を行う。また、役員数は道路関係公益法人については常勤の理事数の総数を少なくとも2割削減。
非常勤の理事を含め総理事数は原則として、財団法人では15人以内。社団法人では20人以内にする。法人業務の性格上特段の事情がある場合は例外としてこの範囲を超えることができるとしている。 改革本部では、道路関係公益法人全体として、総理事数を3割近く削減する方針だ。また、道路関係公益法人間での国家公務員出身の役員の兼職を全てなくす。このほか、役員報酬や退職金などを含め、社会的理解を得られるよう情報公開の徹底を要請していくとしている。
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