西新宿在住のスーパーギタリスト〝マーティ・フリードマン〟が完全ドルヲタ宣言! 三度のメシよりJ-POPが大好きという彼が、お気に入りのアイドルソングをレコメンド!! 今回は、マーティも「おいしい!」と絶賛する大好物のAKB48を!#17_AKB48『心のプラカード』  ボクがAKB48を最初に聴いたのは、インディーズでの1stシングル『桜の花びらたち』(2006年)。この曲における合唱スタイルの歌唱、イントロの学校のチャイムの音には超感銘を受けたんだ。
こういうサウンドはアメリカでは絶対にありえないものだったからね。  でも正直言って、当時は彼女たちの存在がここまで大きくなるとは思ってもみなかった。もちろん、AKBのサウンドはツボなんだけど、ボクって基本的に趣味がマニアックじゃん?(笑)。実際、当時はコブクロやSoulJaの『ここにいるよ』とかのJ-POPが流行していた時期だしね。  それが、気づけば彼女たちは大ヒットを飛ばし、派生ユニットがどんどん出てきて、追いつくのすら大変な状況になってきている……。ボクにとってはうれしい悲鳴だけどね!  というわけで、この夏に発売された『心のプラカード』の話。この曲は非常に興味深いね。  まず耳に飛び込んでくるのが、ホーン系のシンセサイザーの音。ちょっとチープなところが逆にいい味になっているね。パーカッションを沢山使ったポリリズミック(複合リズム)なリズム展開もGOOD! そしてなんといってもこのメロディ。『パイヤイヤイヤイヤ……』というコーラスワーク。サビのメロディも超おいしい! これはボクが大好きな1960年代のバブルガムポップ(当時のアメリカで量産された若者向けのポップス)の世界だね。
 この話を聞いていて何か気づくことはない? そう、実はちょっと前にこのコラムで紹介した楽曲『ラブラドール・レトリバー』もアメリカのバブルバムポップ風だったんだ。  しかも『恋するフォーチュンクッキー』は70年代のディスコサウンド風だったし、『ハート・エレキ』はスパイダース、タイガーズなどの日本の60年代のグループサウンズ風だった。  どうも、ここ1年のAKBサウンドはレトロ化しているような気がするね。  もちろん、それは悪いことではない。こういうレトロなサウンドはみんなが馴染みやすいでしょ? 疲れてるときに最新でモダンなダブステップサウンドとか聞きたくないじゃん(笑)。AKBはそういう場所で戦いを挑むようなことはしない。あくまでハッピーな王道のポップスを狙っている。  そして、この王道に挑戦するのって、実は大変なんですよ。ミュージシャンやクリエイターは放っておくと野心的なサウンドばかり作っちゃうからね。それをうまくコントロールしているのは、秋元康さんの見事なジャッジがあるからだと思うね~。  ところで、この曲、歌詞に「こっち向いて一瞬だけ…」っていうフレーズが出てくるから、ライブのときのファンの気持ちを歌ったっぽいよね。でね、実はそれを同じ体験をしたことがあるんですよ。
 ついこの間、『2014 FNS歌謡祭』(フジテレビ)に出演させていただいたんですけど、そのとき……なんとAKBが1メートル先くらいの至近距離で歌ってくれたんです! しかも、まゆゆがボクに視線を投げかけてくれたんですよ!! え? 勘違いじゃないかって? そんなことはない。ちゃんと目が合って、「あ、あなたのこと知ってるよ!」「もちろんボクも知ってるよ~。がんばって~」って目で会話したもん。本当だよ!! (構成・文/尾谷幸憲)Marty Friedman マーティ・フリードマン ギタリスト、プロデューサー。全米で1000万枚以上のCDを売ったヘヴィメタルバンド「メガデス」に在籍。2004年から日本の音楽シーンでも活躍。ももいろクローバーZ『猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」』への全面参加。ニューアルバム『インフェルノ』(ユニバーサル)が発売中。 新番組『アイドルお宝くじ』にナレーション出演中 <O.A.情報> テレビ朝日/毎週金曜日 26:50~ BS朝日/毎週土曜日 26:30~ CSテレ朝チャンネル1/11月7日スタート・毎週金曜日 24:00~ 月刊エンタメにて誌面版「マーティ・フリードマンのヘドバン★鋼鉄推薦盤[メタルレコメンド]を連載中! 【公式HP】http://www.martyfan.com/
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