『春』は、3年間祖父と二人暮らしをし、美術大学を卒業し、現在CMなどのディレクターとして活躍する大森監督自身の経験を元に、祖父を介護する美大生の心情を繊細に描いた秀作。認知症が進む祖父に、イライラが募った主人公が思わずしてしまう行動など、監督が過去に抱いたであろう、他人には見せたくないような汚い感情も逃げずに描いたリアリティが、観る者に突き刺さる。
主人公・アミを演じ、初主演を飾ったのは、NHK連続テレビ小説『エール』の主人公夫婦の一人娘役、『コントが始まる』の有村架純の妹役や『泣く子はいねぇが』、『街の上で』などで注目を集める古川琴音。
『春』は京都国際映画祭2018 クリエイターズ・ファクトリーほか9つの映画祭にてグランプリを受賞した他、文化庁メディア芸術祭2019 新人賞(大森歩)、TAMA NEW WAVE ベスト女優賞(古川琴音)も受賞した。
アミのアニメオタクの同級生・橋本役を演じる加藤才紀子は「(演じた)橋本さん役は明確な将来の夢に向かって、自分の世界をどんどん構築している人で、学校内では一人浮いています。正直、学生時代の自分とは正反対で、色んな現実に流されやすかったこともあり、台本をいただいたときには『橋本さん、強いなぁ』という印象を抱きました。
そんな彼女の中にある内に秘めた闘志を大切に、彼女が作ったオリジナルキャラクターたちの物語を膨らませながら演じました。是非スクリーンでご覧ください」とコメントしている。
【写真】古川琴音が主演『春』の解禁された場面写真とポスタービジュアル【10点】