カンニング竹山が2008年から続けている、テレビではできない笑いに挑戦する単独ライブ「放送禁止」シリーズ。最新作「放送禁止2021 in中野サンプラザ」が10月13日(水)に中野サンプラザで開催される。
最初はチケットが売れなかったという当ライブが、回数を重ねて伝説と呼ばれるまでになるまでの経緯、そして「芸人」として毎年ライブを開催する意義について話を聞いた。(前後編の後編)

【前編はこちら】カンニング竹山が語る50歳超えても単独ライブをやり続ける理由「裸のスキャンダルが転機」

【写真】単独ライブ「放送禁止」への思いを語るカンニング竹山

――単独ライブ『放送禁止』を続けるなかで、危険な目に遭ったことはないんですか?

竹山 それがないんですよ。ヤクザに取材したときだって問題なかった。ライブで話した内容が漏れることもないので、「共犯者」になってくれるお客さんたちには感謝してます。役者のマギーさんから「こんなにいい客を持ってる舞台はないよ」と言われたときは誇らしかったです。

――昨年は配ライブという形になりましたが、それでもネタバレはありませんでしたか?

竹山 昨年は芸人30周年として中野サンプラザでやることが決まっていたのに、コロナの影響で配信でやることになったんですけど、最初はネタバレするんじゃないかという不安はありました。いざやってみたら、見事なまでに漏れない。思いっきり(アンジャッシュ)渡部の話をしたのに(笑)。

(ビート)たけしさんが謹慎していた頃の話を(ガダルカナル・)タカさんに取材して。フライデー事件で何が起こっていたのか、誰がどう殴っていたのか、謹慎中のたけしさんが弟子に教えたこと……知られていないような話をたくさん聞きました。それが渡部へのメッセージにつながっていく、という内容なんです。

――今年の『放送禁止』は、昨年やれなかった中野サンプラザで開催されます。


竹山 「必ずやるので延期にさせてください」と、中野サンプラザには待ってもらっていたんです。若手の頃、中野サンプラザ前の広場で(病で亡くなった相方の)中島と稽古していたし、中野のザ・ポケットというキャパ200くらいの劇場で単独ライブをしたこともあるので、中野サンプラザが30周年にふさわしい場所だと思ったんです。

――30年も芸人を続けると思っていましたか?

竹山 売れるか売れないかなんてわからなかったので、想像してなかったですね。

――竹山さんは、小学生時代の同級生と組んだコンビ、ター坊ケン坊時代に『お笑いめんたい子』で1位になって、福岡吉本に1期生として入りますが、その時は「俺たち、天下取れるな」という感覚はなかったですか?

竹山 その頃は「福岡で一番面白いんだ」と、めちゃくちゃ天狗になってました(笑)。「このまま売れて、全国放送の番組に出られるんでしょ」と思ってましたから。ただ、早い段階で「ここにいても東京につながらないぞ」と気がついたんです。そもそも関東芸人になりたかったのに、吉本に入ったら関西芸人の括りになってしまう。それで、逃げるように上京したんです。

――竹山さんが東京でくすぶっている間に、同期の博多華丸・大吉さんは福岡のスターになっていくわけですが、どんな感情を抱いてましたか?

竹山 母親には「(福岡吉本を)辞めなければよかったのに」と言われたけど、「俺は東京で戦っているんだ」という自負があったし、後悔はしていませんでした。ただ、華大が『爆笑オンエアバトル』(NHK)に合格するようになってから焦り出して。僕らは『爆笑オンエアバトル』なんて出られるような芸人ありませんでしたから。でも、しばらくしたらカンニングが一気に売れて、福岡吉本に対しては「ほら見たことか」という感情になったんです。


その頃、華大がMCを務める福岡の番組に呼ばれて。収録後に飲みに行くと、カンニングがブレイクするきっかけとなった『めちゃ×2イケてるッ!』(フジ系)の放送を華大は正座しながら観て、「ター坊、頑張れ!」と応援していたと聞かされたんです。

俺は10年間、人を恨むことばっかり考えていたのに、みんなはそうじゃなかった。「俺はなんてくだらない人生を過ごしてきたんだ」と涙が出てきたんです。その後、華丸さんが『R-1』(フジ系)で優勝したときも、2人が『THE MANZAI』(フジ系)で優勝したときも素直に喜びました。もはや『あさイチ』(NHK)なんて、「俺だったら毎朝、NHKに行くのは嫌だな。」と思ったくらい。そもそも俺にはこない仕事だけど(笑)。

福岡吉本の1期生は人数こそ多くないですけど、今もほとんどが生き残って芸で食えているんです。すごいことだと思います。ただ、俺が福岡でお笑いをやっていたのは1年だけで、東京のほうが全然長い。「福岡芸人」と言われると、申し訳なさと煩わしさの両方がありますね。

――東京でくすぶっていた時期の借金をネタにすることもあったと思いますが、最近、にわかに脚光を浴びている「クズ芸人」に対して思うことはありますか?

竹山 今は借金ができるところが減っているから可哀想だな、というのがある一方で、借金があることを公言できる時代になったんだな、とも思います。
以前は、借金があることを言えませんでしたから。博打で借金を作って辞めた先輩なんて、クスリで辞めたくらいイメージ悪かったんです。俺の場合は、借金を整理し始めた段階からネタにするようになったけど。今は「クズ芸人」というキャラクターが受け入れられている、いい時代になったと思います。

――竹山さんにとっての本分が『放送禁止』なわけですよね。

竹山 そういうことです。

――今年の『放送禁止』は、どんな内容になるんでしょうか?

竹山 詳しいことは言えませんが、みなさんが想像できない「とあること」が目の前で起きます。誰も当てることができないと思うので、ぜひ、その目で確かめに来てください。

▽カンニング竹山単独ライブ 「放送禁止2021in中野サンプラザ」
【日 時】2021年10月13日(水)
【開 演】18:00(開場は開演の1時間前)
【場 所】中野サンプラザ
【料 金】¥6000- 全席指定
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