「なんで私のことを落としたんですか!」安田大サーカスクロちゃんが主催するアイドルフェス「クロフェス」でそうクロちゃんに食って掛かったアイドルがいる。アップアップガールズ(仮)・工藤菫だ。
二人には浅からぬ因縁がある。

【写真】対談中、クロちゃんの言葉に思わず涙を流す工藤菫【10点】

実は彼女、『水曜日のダウンタウン』(TBS)で放送された豆柴の大群のオーディションに参加しており、当時プロデューサーのクロちゃんに落とされた過去を持つのだ。「いらなかったから落とした」と居直るクロちゃんと、当時は「放送を観るのも辛かった」という工藤。「落とした側」と「落ちた側」による異例のディープ対談が始まる…。(前・中・後編の前編)

──今回のメインテーマは「なぜクロちゃんは工藤菫を落としたのか?」という話なのですが……。

クロちゃん (※遮るようにして)「なぜ」も何もないですよ! あのときは「いらない」と思ったから落としただけ。結論はズバリそれだし、それ以上に語ることなんてありません!

工藤 いきなりひどい(笑)。取り付く島もないじゃないですか!

クロちゃん クロフェスのときも「なんで落としたんですか!?」とか突っかかってきたけど、すでに結論が出ている話をぶり返されてもねぇ。こっちだって対応しようがないですよ。

──そもそも工藤さんは豆柴の大群をどういった経緯で受けたのか? このあたりの説明からお願いできますか。

工藤 もともと私は中3まで地元でアイドル活動をしていたんです。そこを辞めてからもアイドルは続けたかったんですけど、入学した高校では芸能活動が禁止されていまして。
それで高校卒業後にオーディションをたくさん受けました。ところが結果的には、どこも引っかからなかったんですよね。当時の私はWACKがとにかく大好きだったので、オーディションもWACKばかり受けていました。ちょうどその頃はWACK系のオーディションが重なっていたんです。BiSさん、CARRY LOOSEさん……。

クロちゃん そうか、そうか。他のWACKグループも受けていたんだね。

工藤 でも豆柴の大群のときは、かなり特殊なオーディションではあったんです。グループ名やコンセプトは何も明かされず、ただ日時とTBSの場所だけ伝えられたので。それでドキドキしながらテレビ局の部屋で待機していたら、いきなり目隠しをされたクロちゃんが入ってきて……。そこからは基本的に番組(『水曜日のダウンタウン』)でオンエアされた通りの展開です。

クロちゃん なるほどね。
俺だけじゃなくて、オーディションを受ける側としてもサプライズだったということか。そのへんの事情は知らなかったな。

工藤 めちゃくちゃ戸惑いましたよ。既存グループの追加メンバー募集というわけではなさそうだし、かといってWACKで新グループを結成するという雰囲気でもなくて。「ひょっとしたらアイナ(・ジ・エンド)さんあたりが新ユニットを作るのかな?」とかも考えましたね。それで蓋を開けてみたら、まさかのクロちゃん登場じゃないですか。「どういうこと?」って考えている暇もなく同意書にサインさせられて……。

──同意書? それはどういう類のものだったんですか?

工藤 あのオーディションはテレビで流れるものだったから、「カメラに映っても大丈夫か?」という確認が主でした。「嫌だったら、ここで帰ってもOKですよ」ということでしたけど、もちろん誰も帰る参加者はいませんでしたね。私としてはWACKへ何がなんでも入りたかったから、そのためにはクロちゃんにアピールするしかないと気持ちを切り替えまして。他のみんなも必死でしたよ。移動のバス中も、スマホでクロちゃんのことを調べまくっていましたし。
「どんなタイプの女性が好きなんだろう?」とか。

クロちゃん そうなんだ(笑)。「クロちゃんプロデュース」と知ったとき、工藤ちゃんは率直にどう思ったの?

工藤 クロちゃんがアイドルにものすごく詳しいということは前から知っていたんです。だからこのプロジェクトは冗談半分のテレビ企画なんかではないなと最初から思っていました。真剣に選んでくるに違いないって。実際、その通りになりましたし。

──MONSTER IDOLの1次審査は16人中8名が通過。残念ながら工藤さんは脱落してしまいます。クロちゃんから見た、そのときの工藤さんの印象を教えていただけますか?

クロちゃん ……正直なことを言っていいですか? 一切、覚えていないんですよ。あまり印象に残らなかったんだと思う。のちにクロフェスで「なんであのときは!」って詰められから、「工藤菫? そんな子、いたっけ?」と改めて確認したんですけどね。それでも当時のことは思い出せなかった。


工藤 そうか……。それだけインパクトがなかったということだろうなぁ。

クロちゃん 最初にテレビ局の部屋で対面したとき、たしか候補者が3列か4列くらいで並んでいたんじゃなかったかな。ぱっと見、1番前の列が可愛い子多かった気がするねー。

工藤 そうですね。実際、通過者は一番前の列にいた子が多かったですし。あのときは4人ずつ4列に並んでいて、私は2列目の真ん中。目立ちにくい位置だったから、「ここでクロちゃんの目に留まるかな?」ってドキドキしていたことを覚えています。

クロちゃん でも真面目な話をすると、あのオーディションは顔が可愛いかどうかだけで選んだわけじゃないからね。だってアイドルの魅力って顔だけじゃないから。特にグループの場合、いろんな個性があったほうがいいわけでさ。グラビアアイドルだったら可愛さで選ぶのが正解なんだろうけど、グループアイドルの場合はそうじゃない。


工藤 たしかにそうですよね。

クロちゃん MONSTER IDOLではバラエティ的な面白さも度外視して、どの子を組み合わせてグループを作ったらベストなのかを真剣に考えたの。だって俺はアイドルが真剣に好きだから。自分自身もアイドルになりたいって真剣に考えていた人間だし、他のことはともかくとして、アイドルに関してだけは真剣に取り組みたかったんだ。

工藤 クロちゃんが可愛さだけで選んでいるわけじゃないことは私も薄々気づいていたんです。でも、そうなると何を基準にして選んでいたんですか?

クロちゃん はっきりした色を持っているのか? そこはかなり意識していたと思う。「変わっているな」「面白いな」「個性的だな」……要するに「もう少し見てみたいな」と思えるかどうか。オーディションでの工藤ちゃんは印象に残らなかったと言ったけど、あのときって今とはだいぶ雰囲気も違っていたよね?

工藤 全然違いましたね。黒髪ロングだったし、服もワンピースとか着ていきましたし。会場でクロちゃんが登場した瞬間、「あっ、これはミスったな」と気づいたんですよ。当たり前すぎるというか、周りに埋もれちゃって目立つことができないんじゃないかと思って。結局、あのときは自分が未熟だったんでしょうね。
周りに流されるばかりで、何もできていなかった。それが「何ひとつ印象に残らないまま、あえなく一次で脱落」という結果に繋がったんだと思います。

──落選を知ったときは、どのように感じました?

工藤 めちゃくちゃ頭に来ました! 「フザけんなよ!」って思いましたし。

クロちゃん 「フザけんなよ!」か(笑)。オーディションのときは、そんなキャラだとは気づかなかったけどね。

工藤 いや、だってあのオーディションって準備期間が異常に長かったんですよ! 歌の審査もあったし、アピールタイムもありましたし。それこそ死ぬほど予行練習をして、「ここに人生を賭けるんだ!」って意気込みで臨んだのに、結果は一次で脱落ですからね。

クロちゃん いや~、そこまで熱い気持ちを持っていたのか。ごめんなさいね、あっさり落としちゃってさ(笑)。

工藤 笑い事じゃないですよ! 落ちてから1週間くらいはリアルに感情が「無」になりましたね。それでも通過した子はどんな感じなのか気になるし……。

クロちゃん (ニヤニヤしながら)ふ~ん、落ちてからも番組は見てたんだ。ねぇねぇ、どんな気持ちで見ていたわけ?

工藤 本当にイヤらしい聞き方をしますね(苦笑)。まず舞台が沖縄になったじゃないですか。私は沖縄に行ったことがないから、それが単純にうらやましかったです。水着で審査するのもクロちゃんらしいなと思いましたし。正直、番組は見たくないんですよ。自分が惨めになっちゃうので。それでもどうしても気になるから、ついつい時間になると見ちゃうという……。最後、クロちゃんが吊るされるところまで含めて全部を見ましたけど、何をどうあがいても自分はこのグループに入ることはできなかったんだなっていう一種の諦めはつきましたね。

▽12月19日(日)川崎CLUB CITTA’にてワンマンライブを開催
今年8人体制となったアプガ(仮)にとって最大キャパのワンマンライブ『アップアップガールズ(仮)2021 End of the Year』。12月19日(日)に川崎CLUB CITTA’で行われる。

▽工藤菫Twitter
https://twitter.com/uug_new_sumire

▽工藤菫Instagram
https://www.instagram.com/uugirl_new_sumire/

【中編はこちら】『水ダウ』でクロちゃんに落とされたアイドルが涙の対談「落ちた過去は消せないし私しか持ってない」

【後編はこちら】豆柴の大群になれなかった私、「“変わらなくちゃダメ”その意味が本当にわかった瞬間」
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