(前中後編の後編)
【写真6点】相沢梨紗、『新月のダ・カーポ』の豪華絢爛な撮り下ろしショット
──ソロでアニソンを歌うことが決まって、でんぱ組.incメンバーの反応はいかがでしたか?
相沢 みんなアニメが大好きなので、すごく喜んでくれました。オープニングテーマの『とめどない潮騒に僕たちは何を歌うだろうか』も、同じでんぱ組のあおにゃん(空野青空)が所属するARCANA PROJECTが担当しているので、オープニングとエンディングを仲間が担当するってすごいことだよねって話もしました。あと『W.W.D』という曲で、10分ほど歌わずにメンバーそれぞれが独白をするというコーナーをツアーでやっていたんです。そのツアー最終日に(古川)未鈴ちゃんが、「梨紗ちゃんの歌声は素晴らしいから、たくさんソロでも歌ってね」と言ってくれたんです。普段、未鈴ちゃんって人に気持ちを伝えるのが苦手なタイプなのに、そんなことを私に言ってくれるんだって感動して、いつか叶えないといけないなと思っていたんです。それが達成できて、少しは未鈴ちゃんの期待に応えられたかなって。
──今年2月に成瀬瑛美さんが卒業して、新メンバー5人が加入するという激動の1年でしたが、その変化には付いていけましたか?
相沢 5人時代、6人時代のときはがむしゃらにやっていたんですけど、今は何が起こるのか自分の肌感覚で確認できる速さになっているので、そこまで混乱することはなかったです。むしろメンバーが増えて心強いですね。でんぱ組ってオールマイティーにできるメンバーがいないんですよ。得意なことはすごく得意で100点だけど、できないことは全くできないってチームなんです。だからメンバーが辞めて人数が減ったときは、そのメンバーの思いも抱えて2人分の気持ちでやっていました。でも、そうなると本当に大変で、今まででんぱ組への愛と気力だけで続けていたんです。
──リーダーとして10人をまとめるのは大変じゃないですか?
相沢 みんな傷つきやすい分、人に優しいんです。だから私がまとめなくても、大切なときは、ちゃんとまとまってくれます。もともと私はクラスの班長すらなるのが嫌で、なるべく陰の端っこにいて目立たないようにしているタイプでした。なので、でんぱ組のリーダーに任命されたときも、「私がリーダー……」って思いました。でも、でんぱ組の中では私が一番おっちょこちょいで、それをみんながカバーして、それでまとまっているんです。そんな頼りになるメンバーを見て私も頑張らなきゃなって思いますし、他のアイドルグループとは違うタイプのリーダーをやらせていただいています(笑)。
──今や、もともとでんぱ組のファンだったメンバーもいるのはすごいことですよね。
相沢 本当にそうですよね。「あの頃のでんぱ組を見てました」って子がメンバーとして来てくれると、自分たちの活動が認めてもらえたような気がしてうれしいです。
──昨年から今年にかけて、コロナ禍でライブやイベントを思うようにできない時期が長く続きましたが、どうやってモチベーションを保っていましたか?
相沢 正直めちゃめちゃ落ち込んでいました。それまでは週3でライブをやったり、何日も連続で握手会をやったり、ワンマンライブの後も握手会をやったりという過密スケジュールでやっていたチームだったので、長期間ライブができないのは恐怖でした。
──たとえば、どんな作業をしていたんですか?
相沢 ライブを観返したり、音源を聴き直したりして、10人での振りを再構築していました。今までの曲を10人バージョンに構築し直すと、それまで見えてなかったものが見えてくるんですよね。同じ曲でも、昔と今では振りの意味も変化していて、そういう発見はメンバーが増減するたびにあって面白いです。でんぱ組の活動で培われた1曲を突き詰める作業は、今回のソロ活動でも活きていると思います。
──今後ソロとして、どんな活動をしていきたいですか?
相沢 私はアニソンを通して自分の人生を変えることができましたが、同じように私の曲を聴いた人が何か変わるきっかけになれるような、誰かの目標になれるような存在になりたいです。今後もずっと歌い続けたいですし、アニソンのイベントなどにも出たいですし。でんぱ組としての活動を継続しながら、こうやってアニソンを歌えるのは奇跡に近いと思うので、こういう道もありなんだというのを身をもって示していきたいです。
【前編はこちら】「もうアニソンは歌えないかも……」でんぱ組.inc 相沢梨紗がソロデビューを果たすまで
▽相沢梨紗
でんぱ組.incのリーダーとして活動。現在発売中のアニメ『白い砂のアクアトープ』エンディングテーマ『新月のダ・カーポ』でソロデビューを果たす。