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【写真】特撮美女、工藤美桜の撮りおろしカット【15点】
──改めて、深海カノンという役を1年通して演じて得た手応えや学びはなんでしたか?
工藤 手応えは……正直ありませんでした。この当時はお芝居をこうしよう!とプランを練るより、とにかく台本をしっかり読んでセリフを間違えずに言うことに必死で。ただ、ここで演じ方の土台を作れたことで、その後色々なドラマや映画のたびに、自分なりに考えて演じることの大切さを学んでいけるようになりました。あとは滑舌でしょうか(笑)。
──滑舌ですか。
工藤 『ゴースト』の頃は滑舌がすごく悪かったんですよ。カノンは声だけでの芝居からスタートだったんですけど、アフレコは特に滑舌の悪さが際立つので、音響監督さんに何度も叱られて……。家で毎日泣くような思いで特訓したんですよ。今普通に喋れるのは、『ゴースト』でしっかり滑舌を鍛えたからなんです(笑)。こうして、お芝居をやっていくうえでの大切な基礎を『ゴースト』ではたくさん学ばせてもらいました。
──その学びが活きて「工藤美桜の芝居」になったタイミングはいつでしょう?
工藤 ちゃんと学んできたことを活かして納得できたのは『キラメイジャー』からです。
──『キラメイジャー』は演技に加え、アクション、ダンス、ドラム、さらにキャラクターソングで歌にも挑戦とエンターテイメントの全てを網羅していましたよね。
工藤 本当に! 女優としてだけでなく、人間としての幅を『キラメイジャー』は広げてくれました。自分の意思をちゃんと持てる人になれましたし精神的にも大人になり、終わる頃には人間として一回り大きくなっていました。それは努力家で頑張り屋な仲間のみんなに助けてもらいながら成長できたのが大きいですね。ダメなことがあれば厳しい言葉もくれて、逆に良かったらすごく褒めてくれるし困ったことがあれば助けてくれる。みんなのおかげで人として一回りも二回りも成長できました。
──同年代のライバルの奮起に促され、工藤さんも共に大きく変わった?
工藤 本当に良い意味でみんなとはライバルでした。特に私はキラメイブルー役の水石亜飛夢くんと、キラメイシルバー役の庄司浩平くんと一緒にお芝居することが多かったのですが、2人は本当にお芝居で遊ぶ人たちで……(笑)。
──確かに、変顔や大ぶりなリアクションと多彩な遊び方をしていましたよね。
工藤 そうなんですよ(笑)! 2人は常に何か入れられないか考えていたので、私も負けないように参戦しようと考えましたね。小宮璃央くん、木原瑠生くん、新條由芽ちゃんは王道キャラを貫き通していたので、私たちは「どれだけクセを入れられるか?」を意識しながら臨んでいました。
──アドリブを意識的に入れるようになったんですね。
工藤 要所で今までのスーパー戦隊シリーズのネタを入れてみたり、そのときの流行を入れたり、はまっていたキャラになり切ってみたりと、気づいた人が思わずニヤッとするようなものを入れていました。水石くん、庄司くんの影響で、考え込むだけでない“楽しむお芝居”が段々とできるようになれたんですよね。このみんなとのキャッチボールのおかげで、大治小夜がキャラではなく生きた存在……もう1人の自分として昇華できたんじゃないかなって思っています。
──今春には『魔進戦隊キラメイジャーVSリュウソウジャー』と『仮面ライダーセイバー×ゴースト』の公開、今夏には『仮面ライダースペクター×ブレイズ』の放送に合わせ、公式で春・夏の2回に渡る「工藤美桜祭り」が開催されました。まさに「ニチアサに愛された女優・工藤美桜」ですね。
工藤 ライダー・戦隊の両作品で変身を経験したのは私が初と聞いて本当に驚きました。私としても特撮と両想いだったらいいな~って(笑)。カノンちゃんも小夜さんも、たくさんの方に愛された存在なんだなあって幸せに感じます。きっとたくさんの方に2人が愛されたからこそ、こうしてキャンペーンを組んでいただけたわけです。……もう、みなさんに感謝!!
──次は「ウルトラマン」シリーズ出演への期待が高まりますね(笑)。
工藤 そうなんですよ!! 放送中の『ウルトラマントリガー』には同じ事務所の豊田ルナちゃんが出演していますし、主演の寺坂頼我くんとも映画で共演して以来仲良しで。
(取材・文/田口俊輔)
▽工藤美桜(くどう・みお)
1999年10月8日生まれ、東京都出身。2015年に『仮面ライダーゴースト』深海カノン役でテレビドラマ初出演を果たし、2020年には『魔進戦隊キラメイジャー』大治小夜 / キラメイピンク役で出演し“特撮に愛された美女”として話題を呼んだ。
Twitter:@p_miokudo
Instagram:mmio_kudo