AKB48の新シングル『元カレです』(5月18日発売)で、新センターに抜擢された本田仁美。2021年、IZ*ONEとしての活動が終了しAKB48での活動を再開。
グループに新たなる新風を吹き込んだ。チーム8の栃木県代表としてデビューしてから8年、夢のセンターに立った今、どんな景色が見えているのか。

【写真】AKB48『元カレです』で新センターに抜擢された本田仁美の撮り下ろしカット【7点】

AKB48の選抜メンバーの間で“本田警察”という言葉が流行している。本田仁美のダンスへの厳しさを表現しているフレーズだ。

本田は振り付けを揃えることにかけては、とにかく厳しい。揃っていなければ、先輩だろうが容赦なく、「柏木(由紀)さん、ここ揃えてください」と指摘する。全体で踊った動画をコマ送りにして、手の角度、体の向き、足の幅などを次々にチェックするのだ。こういったことは過去のAKB48においてはあまり行われていなかった。個性が重視されていたからだ。

そんな本田が、今月18日に発売されるAKB48のシングル『元カレです』のセンターに立つことになった。

本田「センターだと知った時はとても嬉しかったです。でも、悔しがっているメンバーもいるはずだから、リアクションが薄くなってしまいました(笑)」

そもそも本田はセンターに立てるような存在ではなかった。
加入したのは8年前のこと。2014年4月、チーム8の栃木県代表メンバーに選出された。チーム8とは、各都道府県から1名が選ばれて結成されたチームのことだが、そのチーム8でもなかなか存在感を発揮できずにいた。

本田「あの頃は、選抜は雲の上の存在だと思っていました。でも、チーム8の何人かが選抜入りしていく姿を見て、夢だけじゃ終われないなと思って。絶対選抜に入って、センターに立ちたいという思いが芽生えました。でも、どう頑張ればいいか分からなくて。選抜入りしたメンバーと自分を比べてしまって、卒業を考えたこともありました」

本田が選抜入りできたのは、AKB48に加入して4年半後のこと。『NO WAY MAN』だった。しかし、選抜メンバーとしての活動をほとんどすることなく、韓国へと渡る。その数か月前、日韓合同のオーディション番組で、グローバルグループ「IZ*ONE」のメンバーに選出され、日本を離れることになったからだ。

韓国で過ごした2年半は、本田の意識を根本から変えた。
振り付けを徹底的に揃えるまでレッスンは終わらない。それに加えて、食生活もトレーニングも日本とはまるで違った。

本田「日本では実家暮らしだったので、すべて親任せでした。韓国では団体生活だったから、自分のことは自分でやらないといけません。そこで自覚を持たなくちゃいけないんだと心を入れ替えました。韓国語も話せなかったけど、話せないと生きていけません。必死に覚えようとしました。人って、やらなくちゃいけない場所に行くと成長するんですね」

現在は中国語も勉強中だという本田。語学の習得のみならず、努力を怠ることを知らない。腹筋100回は当たり前にこなす。ヨーグルトやゆで卵を積極的に摂取するなど、食事にも厳しい。

本田「食べることが好きなので、しっかり食べて、運動をすることにしています。
ジムではスクワットを重点的にやっています。腹筋は1日に5回ずつ回数を増やしながらやっていたけど、今はお休み中です。でも、体幹を鍛えると、踊っていて力がついたなって自分でもよく分かりますね。明らかに違います。練習は嘘をつきませんから」

もちろんダンスの練習も欠かさない。

本田「“本田警察”と呼ばれているからには、自分がちゃんと踊れていないといけません。レッスン場ではダンス、家では表情の練習をしています。みんなの前で鏡を見ながら表情を動かしているのは恥ずかしいから(笑)。それに、今はレッスン場ではマスクをしないといけませんし」

なりたい自分に近づくと、自分のことが好きになっていった。

本田「食事もトレーニングも、自分を好きになるための努力とも言えますよね。日本を離れるまでの私は、自分のことを好きと言える自信がありませんでした。でも、韓国に行き、自分を好きになろうという意識に変わっていきました」

それでも自信をなくすことがある。
そんな日は、家を出る前に行うルーティーンがある。

本田「今日は忙しいな、大変なスケジュールだなという日は鏡に向かって、『大丈夫。かわいい』とつぶやいて、家を出るんです。最近だと、おととい言いました(笑)。みんなにやってほしいな。言霊ってあると思うから」

自信を手にして帰国した本田。前作『根も葉もRumor』では、2回目の選抜にして、センターの横で踊った。今作『元カレです』でセンターに立ったが、不安が消えることはない。

本田「これから歌番組に出たりすると、いろいろな意見を耳にすると思います。どんな声であっても、自分やAKB48に興味を持ってくれているんだと、前向きにとらえるようにしていきたいです」

活動を始めて約8年。ようやく掴んだセンターの座に、気持ちも引き締まる。

本田「先月、初めてファンの方の前で新曲を披露しました。
すると、ファンの方は私のことをじーっと見ているような気がしました。歌番組で披露した時は、カメラが私の方を向いていることが多くて。センターは気が抜けない場所だと改めて感じました」

それもこれもセンターにならないと味わえない気分だ。選ばれし者の恍惚と不安を抱きながら、今日もレッスンに汗を流す。合言葉は「練習は嘘をつかない」だ。

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