「日本一過酷なアイドルオーディション」とも囁かれるBiSHや豆柴の大群らを擁する事務所・WACKのオーディション。今年は6泊7日に及ぶ合宿の末にGANG PARADEに2名、ASPに2名の計4名の合格者が発表された。
そのうちASPに加入した1人がチッチチチーチーチーだ。今回は彼女に、オーディション参加の経緯から合宿中の心境を聞いた。(前後編の前編)

【写真】力強い眼差しがかっこいい、チッチチチーチーチー撮りおろしカット【10点】

──オーディション合格、そしてASP加入おめでとうございます。チーチーさんは子どもの頃から、アイドルになりたかったのですか?

チーチー 自分がなれるとは思っていなかったから、アイドルになりたいと思ったことはなかったです。でも3歳から16歳までバトントワリングをずっとやっていたので、漠然と自分のパフォーマンスで人の心を動かせるような職業に就きたいとは考えていました。

──それはたとえばどんな職業でしょう?

チーチー 遊園地のダンサーとかミュージカル女優とか。いろいろ考えたんですけど、自分にとってこれだ!としっくりくるものがなくて。その中で、やってみたいと自主的に思えたのがアイドルだったんです。

──もともとアイドルは好きだったのですか?

チーチー 曲を聞いたりはしていたんですけど、握手会とかに行っていたわけではないし、ファンというよりも人並程度に好き、という感じでした。

──数ある事務所の中でも、WACKを選んだのはどうしてですか?

チーチー もともとWACKのアーティストが好きだったからというのもあるけど、でもブランド力みたいなもので選んだわけではないんです。WACKの所属アーティストって、パフォーマンスが魅力的で、観ている人の感情を強く揺さぶるなと思っていて。なので、私の目標がここでなら叶えられると思ったんです。


──WACKのオーディションではデスソースと呼ばれる激辛ソース入りの食事や、早朝マラソンなど過酷を極めることでも知られます。躊躇う気持ちはありませんでしたか?

チーチー 初めて知ったときは衝撃的でした(笑)。でも観ていてワクワクするようなところが好きだったし、受けることにためらいはなかったです。

──実際に受けてみていかがでしたか?

チーチー 精神的と肉体的、どっちも100%で辛かったです(笑)。1日目が終わった段階ですでにもう3日くらい経ったんじゃないかっていう感覚でしたね。毎日脱落者も出るし、早朝マラソンのあとにすぐご飯を食べてパフォーマンスの練習……と息をつく暇もなかったです。

──食事といえば、視聴者から「食事の量が多すぎない?」との指摘もありましたが、それはどうでした?

チーチー 合宿中は練習を経てから定刻にパフォーマンス審査があったので審査の頃にはもうお腹がめちゃくちゃ空いていて。だから量は多いとは感じませんでしたし、私は食べることが大好きなのもあって、おかわりもしていたくらいでした(笑)。でも合宿中継を観ていたお母さんも「量が多いね」って言っていたましたね。

──あれをおかわりもしていたとは(笑)! 合宿の中で、特に辛かったことや恥ずかしかったことは何ですか?

チーチー 早朝マラソンとか、4日や5日目になると筋肉痛で脚がもう前に出なくて動かないんですよ。頑張ることが全然できなくって、順位が低くて恥ずかしかったです(笑)。あとは3日目の夜に開催された学力テストも、勉強が苦手なので最下位でしたね。


──WACKの代表である渡辺淳之介さんの名前を間違えていたとか?

チーチー WACK関連の問題が出題されるのは知っていたので、合宿前にそこだけは満点を取ろうって勉強していったんです。でもいざとなると、頭が真っ白になって回答が出てこなくて……。たぶん、下の名前の漢字を全部間違えました(笑)。最下位で名前を呼ばれたときには、「落ちたな」って思いましたね。

──合宿3日目のパフォーマンス審査では、ASPのユメカ・ナウカナ? さんのアイデアで、候補生とユメカさんが肌色のストッキング姿になるという衝撃的なシーンもありました。

チーチー ユメカちゃんが来てくれたときに「みんなに足りないのは殻を破ること」と教えてくれて。もう一歩目立つために、むちゃくちゃかっこいいダンスをやろうっていう案もあったけど、いっそのことズボンを脱いでしまおう!となって。評価がどっちに転ぶかはわからなかったけれど、あの経験はすごく貴重でした。

──どういう部分が、プラスになったと思いますか?

チーチー あれがあったことで、人からどう思われるのかを気にしなくなりました。合宿中は毎日夜に脱落者発表があって、自分がいつ落ちるか、どの瞬間に渡辺さんにダメだと思われるかがわからない。私は背が低くて目立たないし個性もないので常に自信がなくて、パフォーマンス審査では誰よりも一生懸命やらないと注目してもらえないって思ったんです。だけど肌色ストッキングを穿いたパフォーマンスをしたことで、「こういうこともできるんだ」って思ってもらえた瞬間だったと思うんですよね。


──ということは、5日目に行われたコント審査での全身タイツも恥ずかしくはなかった?

チーチー そうですね。ただ、コントとかを恥ずかしがらずに「やろうと思えばできる」ところが私の良くないところだと面談で渡辺さんに指摘もされて。女優みたいだ、って。

──女優みたいって、額面通りに受け取ると誉め言葉のようですが……。

チーチー うーん、渡辺さんの言う「やろうと思えばできる」っていうのは、「やればできる」という前向きな意味ではなく、むしろ合宿を通じて殻を破れていない、何も変われていないという意味だったんです。

──では合宿のどの段階で、チーチーさん自身が変わったと思いますか?

チーチー 変わり始めたのは合宿4日目くらいだと思います。本当の感情がこもったパフォーマンスっていうのがわかってきたというか。それまでは 「悲しい」という歌詞があれば、悲しい顔をして踊っていたんですよ。でもどうすれば変わるのかわからなかったし、自分の中で正解を出せなかった。だけど最終課題曲の『FiNAL SHiTS』で、歌詞と自分が重なる部分があって、本当の意味での「感情を出す」ということを学びました。

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(取材・文/池守りぜね)
▽チッチチチーチーチー
Twitter:@ASP_CCCCCC

▽ASP
Twitter:@ASP_idol
HP:https://asp-japan.tokyo/
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