=LOVEの齊藤なぎさが、ドラマ『明日、私は誰かのカノジョ』(MBS/TBS)に優愛役で出演している。オムニバス形式の本作第6話からの「ホスト編」では、ホストに狂うリアルな女子を演じ視聴者の注目を集めている。
これまでの=LOVEでの可憐なイメージを打ち破るような、齊藤の好演のポイントはどこにあるのだろうか。

【写真】ドラマ『明日カノ』より、ホスト狂い女子を熱演する齊藤なぎさ【6点】

同名マンガを原作とした『明日、私は誰かのカノジョ』(通称・明日カノ)はレンタル彼女・パパ活・ホスト狂い…など、表裏を抱えて生きる、女性たちの生き様を生々しく描いている。

「ホスト編(原題はKnockin’on Heaven’s Door)」は箭内夢菜演じる萌と齊藤が演じる優愛を軸に、2人が通う歌舞伎町のホストや、前編までの登場人物も含めた萌の友人たちとの人間関係が描かれる。

齊藤は=LOVEの中でも『LARME』(徳間書店)でレギュラーモデルとして活躍していたりと、メイクの上手さやファッションセンスで女子力の高いメンバーの1人だ。ソロ曲『現役アイドルちゅ~』(2021)では甘いボーカルに載せて正統派のアイドルソングを歌いこなし、MVではツインテールにフリフリのドレスでストレートな可愛さを振りまいている。

そんな齊藤が演じる優愛は、濃い目のメイクでキャラクターものを愛用するいわゆる「地雷系女子」。歌舞伎町のホストのハルヒ(藤原樹)にハマり、デリヘル稼業でハルヒに貢いでいる。精神的にも不安定でハルヒの客に嫉妬した上、仕事終わりに自宅に顔を見せないハルヒを罵声でなじる。現役アイドルが演じるには際どい役柄である。

齊藤は優愛の二面性を丁寧に演じ分けている。初登場の6話ではキュートに笑顔を振りまき、地味な萌とは対照的な華やかさで視聴者を引き付ける。少女のようなキラキラした面を見せておきながら、ハルヒとの歪んだ関係が明かされるにつれ、抱える感情を露わにしていく。
8話ではハルヒに依存しきった顔をみせたかと思うと、9話ではハルヒの被り(指名がかぶっている)の客を威圧するかのように目力で睨みつける。自分より被りの客を優先したハルヒに怒り心頭になり、ドスの利いた声で「マジあり得ない2人まとめて死んでほしい」「嘘ついてんじゃねえよ!何が君は白猫だよキモイんだけど」とまくし立てた。

彼女とハルヒの関係はホスト編のもう1人の主人公・萌とホストの楓(高野洸)との関係とは対照的で、それが各キャラクターをいっそう際立たせている。ギラついた売れっ子のハルヒと優しげな若手の楓、遊び馴れた優愛と世間ずれしていない萌。華やかな新宿の夜のドロドロとした裏の顔が優愛のルックスと内面の二面性に象徴されているかのようだ。
 

齊藤が優愛役にぴったりだと視聴者から絶賛されている所以は、作り込んだ地雷系のビジュアルに加えて、声の演じ分けが巧みなためでもある。機嫌が良い時のアニメ的な可愛らしい声と、豹変してキレる時の迫力のあるドス声のギャップが鮮烈だ。9話のホストクラブで激高するシーンの前でも、仏頂面で放たれるセリフには凄味がまじっていた。

齊藤本人もこの声をチャームポイントとして認識しているようで、=LOVEの11thシングルリリース記念記者発表イベントでは自身の「愛されコンプレックス」に「ハスキーな声」を挙げている。

「小さい時から『怒鳴ってるの?』って言われるくらいハスキーで。イコラブはかわいい声のメンバーが多くてコンプレックスだったんですけど、最近は曲に声が合っているねと言われることも多くて、ハスキーな声も愛していただけているんじゃないかな」と明かした。ドラマでの演技も「ドスのきいた声を出す場面があったりすると、褒めていただくことが多いです(笑)」とのこと。
ライブパフォーマンスやビジュアル面でのアイドルらしさとは違う魅力も発揮しつつある。

『明日カノ』の前にも『もしも、イケメンだけの高校があったら』(2022)などドラマ出演歴もある齊藤だが、優愛ほど感情の振れ幅が激しい役柄は初めてになる。優愛に誘われた萌がホストの世界を知ってしまったように、本作での齊藤が視聴者を=LOVEに引き込む「沼」になってしまうかもしれない。

【あわせて読む】女優・吉川愛が語るドラマ『明日カノ』のリアル「女の子たちの心の声に衝撃を受けるかも(笑)」
編集部おすすめ