【写真】ど派手な電流爆破マッチに臨んだ乃蒼ヒカリ、撮り下ろしカットも【11点】
――ヒカリさんが選手としては初めてハードコアマッチをしたのは、2021年4月の山下りな戦(※フリーのデスマッチファイター。デスマッチアマゾネスの異名も)です。デビューから3年以上経ってからですが、何か理由はあったのでしょうか。
乃蒼 デビュー当初からずっと「デスマッチをやりたい」って言っていたんですけど、東京女子の中でデスマッチをできる人がいなかったんです。周りの大人からも「デスマッチをやりたいって言わないで」って言われていました。でも無視して、取材の度に「やりたいです」って言っていました(笑)。たぶん大人の方たちも折れて試合を組んでくれたと思うんです。言い続けること、思い続けることが大事で夢は諦めちゃダメなんだと思いましたね。
――実際に山下選手と対戦してみての感想は?
乃蒼 めちゃくちゃ強かった! 山下選手は、FREEDOMS(デスマッチを主体とするプロレス団体)の『KFCタッグ王座』というベルトを持っていたんですが、男性の団体の中で女性がそうやって活躍できるのもすごいなって思いましたね
――デスマッチで経験も実力もある山下選手と戦うことに不安は?
乃蒼 不安よりもワクワクしていました。
――ご両親は心配されませんでしたか?
乃蒼 お父さんはけっこう心配しています。私が激しいのが好きなのは、多分お母さんの血なんですよ。お母さんは、私が初めてハードコアの試合をする日に観に来てくれて、「もうちょっとできたんじゃないの」っていう感想を言ってきました(笑)。「デスマッチをやりたい」と言った時よりも、「アプガ(プ)に受かったよ」と伝えた時の方が、二人ともびっくりしましたね。「アイドルになりたい」って言ったことがなかったから意外だったみたいです。
――乃蒼さんがハードコアマッチを行った時、ファンの人から厳しい反応もありましたか?
乃蒼 もちろん、ありました。「デスマッチは憧れだけでやるものじゃないよ」って言われたり。デスマッチは普通のプロレスとは違う見せ方があるので、そこを認めてもらうまではまだかなって思っています。
――昨年8月に富士通スタジアムで行われたDDTの『WRESTLE PETER PAN 2021』では、8人タッグマッチで、大仁田厚選手や伊藤麻希選手を相手にハードコアマッチをされました。
乃蒼 自分が電流爆破をやるなんて思わなかったんで、「どうしよう」って思いながらやっていました。爆破バッドって、熱くて重たいし爆破音も大きい。爆発した時は、耳がキーンってなって、「これ、死んだな」って思いました(笑)。
――昨年12月には、『ふりーWiFi』というユニット名でタッグを組んでいる角田奈穂選手とハードコアマッチを行い、顔から流血もしていました。
乃蒼 東京女子の中で、「デスマッチをやりたい」という夢を叶えてくれた角田選手には感謝しかありません。
――ヒカリさんとしては今後もハードコアマッチをやっていきたいと?
乃蒼 東京女子の場合は、大会としてのパッケージがあるから、そこにハードコアが入ると違和感があるのもわかるんです。ただ、プロレスにはいろんな魅力があってもいいかなと思うんです。お客さんには自分のハードコアマッチを観てもらってから好きか嫌いかを判断してもらいたい。自分の好きなものをみんなで共有したいなっていう思いが強いんです。
――そんなヒカリさんが考えるデスマッチの魅力を改めて教えていただけますか?
乃蒼 ずばり、傷ができることだと思っています。デスマッチの傷だと目に見える形として残るんですよ。
――ヒカリさんはレスラーでもありながらアイドルでもあります。顔に傷が残っても大丈夫ですか?
乃蒼 私はそれでもいいと思っています。デスマッチが好きな人は試合を楽しんでくれているのですが、私をアイドルとして見てくれている人は、「大丈夫? 」とか、「病院送りになるような怪我だけはしないで」って言ってくれるんです。でも私の場合、そもそもアイドルに興味がなかったから、その発想の方が新鮮で逆に面白いなって思いました。
――なるほど(笑)。「デスマッチアイドル」というこれまでになかった道を突き進みたいと。
乃蒼 例えば、アイドルのステージで踊っている子の背中がめちゃくちゃ傷だらけだったら、「この子ってどんな子なんだろう」って調べるじゃないですか。それがデスマッチにハマるきっかけになってくれると嬉しい。
【前編はこちらから】乃蒼ヒカリがデスマッチへの目覚め「血を流すことで人間の泥臭さを感じる」