2008年に『avex kids×ニコ☆プチ公開モデルオーディション』でグランプリを受賞し、翌年に『ニコ☆プチ』でモデルデビュー。以来、モデル・俳優・番組MCと活躍の場を広げてきた飯豊まりえ
声優としても2022年9月9日公開のアニメ映画『夏へのトンネル、さよならの出口』で初主演の機会をつかんだ。順調に芸能界でのキャリアを歩んでいるようで、「欲しいものは簡単に手に入ってもつまらない。プロセスも味わいたい」と考える堅実な一面も明かす。「苦労は見せたくないんです」と力まず自然体で歩んできた彼女に、作品でのポイントや芸能の仕事への心構えを聞いた。(前後編の前編)

【写真】飯豊まりえの撮り下ろしカット【12点】

本作『夏へのトンネル、さよならの出口』がアニメ映画初主演となる飯豊。ヒロイン・あんず役はオーディションで射止めた。

「最初はスマホで録音したデモ音声での応募でした。そこからオーディションが進んで、スタジオで録音した私の声にブラッシュアップして審査していただく中で、この役をやりたい、という気持ちが強くなっていきました」
八目迷の同名ライトノベルが原作の本作は、高校生の塔野カオル(声:鈴鹿央士)と花城あんず(声:飯豊)が主人公。海辺の田舎町に暮らすカオルは、東京から転校してきたあんずと小さな駅で偶然出会う。学校でも顔を合わせた2人は、そこに入れば欲しいものが手に入るという噂がある『ウラシマトンネル』に興味を持ち、「共同戦線」を張り、噂を調べるうちに関係を深めていく。

あんずは容姿端麗で近寄りがたい雰囲気の持ち主。田舎町で浮き気味で、同級生からは「高嶺の花」のような彼女にはこんな印象も感じているそうだ。


「もしあんずが同級生として目の前にいたら? 彼女のような冷静沈着な人は個人的にはすごく気になるんですけど、あまり話しかけてほしくなさそうだったら、ちょっと声をかけるのはためらいますかね。」

あんずがウラシマトンネルに入ろうとするのは、特別な才能を求めてのこと。しかしもし彼女のように、望めば願いが叶うチャンスに恵まれたとしても願い事には執着しないと明かす。

「私もあんずのように才能が欲しいと思わなくもないですが、人生でも欲しいものが簡単に手に入ったらつまらないじゃないですか。何かにすがって手に入れるものではなくて、自分で叶えていくプロセスが人生の醍醐味であって、だからこそ叶った時の喜びや成果にも価値が増すと思うんです。だから、たとえ何の代償もないとしても私はウラシマトンネルには入らないかな」

堅実ともいえる人生観は、10代からの芸能活動で培ってきたという。モデルでのデビューこそ早かったが、爆発的なヒットの機会はなく、同世代のブレイクを横目に地道にコツコツ歩んできた方だと自負する。

「自分は大成するまでに時間がかかるかもしれないけど、その分骨太でしっかり根を張っているというか、積み重ねた経験をしっかり糧にできているかなと思います。モデルから俳優・MC・舞台といろいろなジャンルを経験させていただきましたが、その分これ!と一つに打ち込む経験はなくて。でもだからこそ今も沢山のお仕事をいただいて、一心に取り組めているのかなと思います」

特にキャリアに影響を与えていたのは、10代前半で初めて出演した小劇場での舞台演技の経験だと振り返る。

「チケットのノルマもあって、手売りするような経験だったんですが、稽古自体はすごく楽しくて。それでお芝居をもっとやってみたい!と思って、。内気な性格だったんですが、自分じゃない人を演じることは面白くて、(稽古などで)プライベートが制限されることがあっても、その分普段得られない多くのことを吸収できるのがいいんですね」

もっとも、特別俳優や演技への熱意が強かったというより、家族への思いが芸能活動のモチベーションにもなっていたそうだ。


「モデルのオーディションを受けたのも、家族に喜んでもらいたくてだったんです。インドアな家庭だったんですが、もっと私が外に出て、活動を話題にしてもらうことで密な時間が増えるかなと思って。実は両親は最初芸能活動に反対だったのですが、まだ子どもですから送り迎えなどで支えてくれました。私の夢に付き合ってもらう形になったのですが、サポートしてくれたことはもちろんですし、芸能のお仕事で好きなことや悩みについても相談したりと、家族で一緒になる時間が増えたことも私の中の思い出になって、感謝しています」

と、今も陰ながら活動を見守る家族への思いも明かした。

【後編はこちら】「チャンスは自分で切り開くタイプ」飯豊まりえが振り返る、思い出のキャリア
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