【前編はこちら】丸山ゴンザレスが語る『クレイジージャーニー』ゴールデン復活「攻めの姿勢に感心」
【写真】番組MC松本人志に“お土産”を渡す丸山ゴンザレス
「丸山ゴンザレスという名前を知っている9割以上の人は、『クレイジージャーニー』がきっかけだと思うんです。だけど僕は流れでテレビに出ただけで、もともとは出版畑の人間ですから。この『エンタメnext』は徳間書店ですよね? 僕は同じ徳間書店の『アサヒ芸能』で記事をよく書いていたんですけど、その頃に裏風俗とかの潜入取材をやっていたときと基本的には変わっていないんです。
当時だって実話誌の周辺には実際は店に行っていないのに適当なヨタ記事を書く奴は大勢いました。そういうときは『こっちは苦しい思いしてガチ潜入しているのに、ふざけるなよ』って怒りが沸くんだけど、今にして思うと実直に取材する習慣がついてよかったなと。結局、全部が繋がっているんですよ」
生き馬の目を抜く出版業界で紆余曲折を繰り返していた丸山氏だが、尊敬するライター・吉田豪氏の「割に合わないところにはライバルがいない」という発言を聞いて、「だったら俺は誰も取り上げない海外の裏ネタを追うことにしよう」と自分の進む道を確信した。
「当時『海外のヤバいことは詳しいよ』みたいな自慢話をする人は結構いたんですよ。ゴールデン街に出入りする怪しげな出版プロデューサーとかね。でも、そのうちにこっちが取材して知識を蓄えてくると、そいつらの言っていたことは全部嘘だってわかるんです。
ガチで海外の潜入取材をするには、それなりにお金がかかる。雑誌のギャラだけでは割に合わないのが現実だ。折からの出版不況もあって他のライターや編集プロダクションが海外裏ネタ取材から撤退すると、ますます丸山氏はこのジャンルのトップランナーとなった。そうした中でTBSの『クレイジージャーニー』から出演依頼が届き、その相乗効果として雑誌や書籍でさらに活躍するようになった……というのが丸山氏の簡単なキャリアである。
「ここに来るまでは海外ネタ一本だけでは生活できなかったから、途中で出版社に勤務したり、フリーの編集者として過ごした時期もありますけどね。僕はペンネームをいくつか使い分けているんですけど、それも署名記事を作るときに『じゃあ、こんな名前でいいか』って編集部が適当につけたケースがほとんど。極めて雑な感じですよ」
雑誌で原稿を書くこととテレビやYouTubeに出ることは、完全に同一線上にあるというのが丸山氏の考え方。しかし実際にはテレビに対応できない出版関係者は多いし、その逆もしかりである。これは丸山氏が持つ繊細なバランス感覚が影響していると思われる。
「編集者的な能力と、ライター的な能力と、営業マン的な能力。この3つが揃っていないと僕みたいな取材はできないかもしれない。
海外の危険地帯を取材する際に心掛けているのは、意外なことに「いいランクのホテルに泊まること」だという。極限状態においてはモチベーションの維持とともに、セキュリティの面でも重要になってくる。
「都市型の取材が好きなんですよ。たとえばニューヨークとかラスベガスみたいに日本人が無数に行くような場所であっても、僕だからこそ気づくことって結構あるんですね。同じ場所で遊んでいても、視点の転換だけでまったく別の世界を知ることがありますから。都市には人間がたくさん集まっていて、そこでは様々な営みがあって……。中でも一番面白いのがビジネス。
ビジネスって動物は絶対やらないですから。昔からそこに対する興味はすごくある。
今後については「具体的に何かというのは言えないけど、興味のおもむくままに取材を続けていきたい」と前向きに語る丸山氏。実は“危険地帯ジャーナリスト”という肩書も自分で名乗ったものではないし、ジャーナリストを名乗ることで「報道にしては正義感がなさすぎる」などと難癖をつけられることがあるという。
「ホント、面倒ですよね(苦笑)。肩書なんて何だって別にいいし、なんなら情報屋って最近は説明しているくらいです。そういう面でのこだわりは僕、一切ないですから。いろんな人が勝手に好きなことを言ってくるけど、反論する気すらない。その代わり、取材するうえで妥協できないこだわりはありますけどね。下手に世間の声に反論するより世界の現実を自分流に届け続ける。それだけ守っていけばいいかなと思っています」
丸山氏の奇妙な“ジャーニー”は、まだまだドラマチックに続いていきそうだ。
▽『クレイジージャーニー』(TBS系)毎週月曜よる9時放送中
[次回放送日時]11月14日(月)よる9:00~10:00