昨今、TiKTok から話題を獲得していくのが、アイドルソングをバズらせる方程式になりつつある。踊りやすいキャッチーなフレーズとダンスでTikTokのヒットチャート上位に上っていく事例を分析してみると、ブームになったアイドルには性別を問わない法則が見えてくるようだ。


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この2022年秋、TikTok上のヒットチャートを毎週集計している「TikTok Weekly Top 20」で、「可憐なアイボリー」の『推し変なんて許さない!』がランクインした。9月14日集計ランキングで14位になり初めてトップ20にランクインすると、以後6週連続でベスト20をキープする(最高順位11位)。ところが、曲自体は5月にリリースしたもので、9月上旬にグループのTikTokでサビを使ってのメンバーのダンス動画が投稿されてからじわじわと知名度を上げていった

可憐なアイボリーは昨21年10月結成の10人組グループで、HoneyWorksのサウンドプロデュースで、清楚な雰囲気をまといながら「アイドルの常識を突き破る」ような新しいアイドルユニットを目指している。『推し変なんて許さない!』もHoneyWorksのキラキラサウンドにのってあざとくキュートな振り付けで、TikTokで一般ユーザーの振りコピ動画や、シンプルに動画のBGMに使われた。

同様の事例は今年春にデビューしたばかりのFRUITS ZIPPERの『わたしのいちばんかわいいところ』(4月29日リリース)でも起こった。2ndシングルのこの曲がTikTokでバズると5月から7月にかけて12週連続でTikTok Weekly Top 20ベスト20入りとなり、急遽YouTube用のMVも制作されるほどに。すっかりグループの代表曲になり、メンバーのビジュアルレベルも相まってFRUITS ZIPPERの起爆剤になった。このグループもわかりやすい可愛さが売りで『わたしのいちばんかわいいところ』の動画にもそれが凝縮されている。

さかのぼれば昨年の2021年にも超ときめき▽宣伝部(※▽はハートマーク)の『すきっ!』がTikTokでヒット、もとはまだ「ときめき▽宣伝部」だった時期の2018年の曲でありながら21年春にTikTokでサビの振りコピがブームになり始めると、アレンジした『すきっ!~超ver~』が制作され、やはりグループのブレイクに貢献した。

≠MEではデビューミニアルバム『超特急 ≠ME行き』に収録の、メンバー本田珠由記の自己紹介ソング『てゆーかみるてんって何?』が多くのユーザーによってバズり、ツインテールが似合う本田らしいこの曲の知名度も上がった。

可憐なアイボリー・FRUITS ZIPPER・超ときめき♡宣伝部、≠ME、いずれもキュートな王道アイドル路線や爽やかな親しみやすさを標榜している。TikTokの短い動画でもバズるには、曲・ダンス・ビジュアルのどれにおいても、わかりやすい可愛さをアピールしていく必要がありそうだ。


TikTokで正統派がウケるのは男性アイドルにもいえるようだ。なにわ男子の1stアルバム『1st Love』収録の『ちゅきちゅきハリケーン』をメンバーが踊る動画が6月27日に投稿されるとサビの「ちゅきちゅきダンス」を踊るユーザーが相次ぎ、TikTok Weekly Top20にも8週連続でランクインした。

昨年デビューのなにわ男子もまた、爽やかなビジュアルで白やピンクの衣装が似合う王子キャラ的なメンバーをそろえた、王道ボーイズグループ。デビュー曲の『初心LOVE』でも「初心LOVEダンス」のタグをTikTok上で流行らせていて、ジャニーズグループの中では最もTikTokとの相性もよさそうだ。

FRUITS ZIPPERの『私の一番かわいいところ』がトレンドになっていたころ、ボーイズグループでもTHE SUPER FRUITの『チグハグ』がヒットチャート上位に入り始めていた。『チグハグ』は2022年8月31日にCDリリース。8月3日にTiKTok上で先行解禁されると8月24日のTikTok Weekly Top20で1位にランクイン、以後6週連続で1位を獲得し、11月9日時点でも12週連続でトップ20をキープし続けている快挙を見せた。THE SUPER FRUITはメンバーの甘い中性的なルックス、セーラー服風のデザインにメンバーカラーをファンシーにあしらった衣装など、男性的なマッチョさとは無縁でやはりかわいらしさを真っ先に感じさせる。

『チグハグ』がユニークだったのはTikTokで一般的な踊ってみた動画に加えて、投稿者が自身のちょっとした笑い話・失敗談を告白してからサビを踊るパターンの動画も流行したことだ。TikTokerや芸人、さらに仙台市の遊園地・八木山ベニーランドの従業員までもがこのパターンで『チグハグ』を使って踊っている動画を見ることができる。

暑苦しさよりも爽やかさ、万人受けするキュートでキャッチーなビジュアルとダンス。これが2022年現在、アイドルソングをTikTokでバズらせる鉄則といえるかもしれない。


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