NMB48の安部若菜が小説家デビューを果たした。ドラフト3期生としてグループに加入し、小説、落語、投資と様々なジャンルで積極的に活動の幅を広げている。
子供の頃から読書好きだったそうで、待望の処女作はその名も『アイドル失格』(KADOKAWA)。現役アイドルの経験もぎゅっと詰め込んだという切なくも希望に溢れた青春小説で、11月18日に発売された。今回、小説家・安部若菜に創作にまつわる裏話を聞いた。

【写真】小説家デビューを果たした安部若菜の撮り下ろしカット【9点】

──完成した書籍を手にして、どんな気分でしたか?

安部 感動しました。手に取って、思わず頬ずりしました(笑)。子供が産まれたような気分です。これまでも自分がジャケットに写ったCDが発売されてきましたけど、特に感慨深かったです。

──出版の経緯は?

安部 「吉本作家育成プロジェクト」というものがあって、いろんな出版社の方が集まっている前でプレゼンをして、いい企画があれば手を挙げていただくんです。芸人さんや文化人の方に混ざって私も参加しまして、KADOKAWAさんが興味を示してくださいました。それが去年の6月のことで、その時点ですでにアイドルとファンの恋愛をテーマにすることは決めていました。

──なぜ小説を書きたいと思ったんですか?

安部 小学生の頃から本が好きでした。ファンタジー、湊かなえさんなどを読んできて、いつしか自分も書いてみたいと思うようになりました。
どうせ書くなら、自分が経験してきたものを活かしたいと思ったし、どんなものを読んだら面白いだろうと想像したら、アイドルとファンの恋愛ものだろうと思いました。あと、主人公は進路に悩む高校3年生のアイドルなんですけど、自分自身も進路に悩んできたし、そういうメンバーもたくさん見てきたので、今まで表に出せなかった気持ちを小説にぶつけてみたかったです。

──現在は大学3年生ですが、進学時にかなり悩んだんですね。

安部 NMB48を卒業するか、大学に進学するかで悩みました。そんな時期に大学を受験したら、なぜかそのタイミングでファンの方が増えるようになって(笑)。活動が軌道に乗ったので、今は両立しています。ファンの方が増えないことが、私の悩みでした。ずっとモヤモヤした気持ちで活動していたんですけど、落語や料理といった趣味を広げていくうちに、それがフックになって、いろんな方に知っていただけた結果、ファンの方に見つけてもらいました。

──執筆は大変でしたか?

安部 大変でした! 人生で一番しんどかったです。コンサート前の振り入れのほうがよっぽどマシやと思って(笑)。ゴールが遠いし、自分でやるぞと決めないとサボってしまうんですよね。仕事の空き時間に書いていると、メンバーから「安部先生、頑張って」と励ましてもらいながら、なんとか書き上げられました。
仕事をしていても小説のことは頭から離れることはなくて、コンサートで踊っている最中も、「ステージで踊っている時の表現って小説ではどうすればいいんやろ?」って考えていました(笑)。

──小説では、ファン心理とアイドル心理が交互に描かれていますね。

安部 中学生で『ラブライブ!』を見て、アイドルに憧れるようになったので、ファン心理は自分でもわかっているつもりです。小説の取材のためにアイドルのチェキ会に参加もしました。NMB48にはない文化なので、他のアイドルも参考にさせてもらいました。小説の登場人物はアイドルにガチ恋するんですけど、私も二次元に恋してた時期があったので、当時のことを思い出しながら書きました。

──自己投影をどれくらいさせようとしたか、書いていて迷いませんでしたか?

安部 そこが一番難しかったです。なるべく自分を入れないようにしたけど、進路に悩む部分はどうしても自分の経験が入り込んでいきました。だから、トータルでは3分の1が自分かもしれません。でも、基本的には「主人公だったら、こんな時にどう考えるか」を念頭に置いていました。

──メンバーの感想は?

安部 小嶋花梨さんと上西怜さんが読んで、「めっちゃわかる!」と共感してくださいました。進路に悩むところはもちろん、いろいろなことが重なった結果、ファンの人に会いに行ってしまう時の心情も、「こういう気持ちになるものなのかな」って。
私も仕事から逃げ出したくなることがあるので。「行きたくない」「このまま溶けたい」って思うんです。そういう気持ちって普段はしまっておくものですけど、小説として吐き出してみました。

──主人公のアイドルとファンはともに自己肯定感が低いのが共通点です。

安部 私も低いほうです。もっと自信持てたらいいのになって思いながら活動してきました。自信がないことは損だと思ってきました。でも、それが今回、初めて活かせたかもしれません。

──人気が出てからも自己肯定感の低さは変わらなかったですか?

安部 はい。今年の投票イベントではグループで4位という結果をいただきました。それなのに、ライブのたびに怖いと感じるし、「自分なんかモニターには映さんといて!」って思います。落語ができて、小説が書けるのは自分しかいないから、自分を励ます方法は増えています。
人より劣っているという自覚があるからこそ、いろんなことに挑戦できるんです。

──ところで、アイドルを続けながら結婚をするニュースがありますよね。現役アイドルとしてどんなことを感じていますか?

安部 ファンの方が温かく受け入れているのが素敵やなって思います。48グループが恋愛禁止を有名にしたのかもしれないけど、時代が変わってきたんだなって感じています。自分はファンの方と結婚することを想像したことはないですけど、そういうニュースを目にするたびに「その選択肢もなくはないのかな」なんて思ったり。

──安部さんは「将来の夢・アナウンサー」と公言していましたが、現時点ではどう考えていますか?

安部 受けてみたい気持ちはあります。できることなら大阪の局がいいですね。先日、歌番組に出させていただいて感じたのは、私がアシスタントをしている番組にNMB48のみんなが出てくれたら素敵やなって。そんな未来が実現したらいいですね。

──メンバーでいるうちに実現させたいことはありますか?

安部 写真集を出したいです。初めて言いました(笑)。先輩も後輩も出していて、刺激になっています。
そのためにもこの本を売らなくちゃいけないから、表紙をプリントしたTシャツを着て、難波の街を練り歩こうと思います(笑)。

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