ソロアーティストとして活動する鞘師里保が、11月16日に3rd EP『UNISON』をリリースした。ダンスミュージックを追求したこの1枚にどう向き合っていったのか、タイトルやコンセプトに込めた思いを、変化した自分の気持ちとともに語ってもらった。
(前後編の前編)

【写真】「自由を感じるようになった」と語る鞘師里保の撮りおろしカット【7点】

──3rd EP『UNISON』の制作はどういった経緯でスタートしたのでしょうか?

鞘師 まずは「2ndツアーをどう作り上げるか」「どういう楽曲が必要か」というのがスタートでした。もちろん今までも大事なことには変わりないけど、個人的に3枚目でやることは特に大事にしなきゃいけないと思っていたのもあり、意思みたいなものが伝わるような1枚にできたらと考えたんです。その上で、今回のEPのオーガナイザーであるカミカオルさんが、「ダンスミュージックをいつかやりたい」と思っていた私の背中を「絶対やった方がいい」と押してくださって、今回はそういう方向で走り出しました。

──タイトルの『UNISON』、そして「“過去の自分”の手を取り、自由を求めて新たに歩き出す」というコンセプトはどうやって決まったのでしょうか?

鞘師 今までは身体だけの自分と魂だけの自分があるというか、「ステージに立ってパフォーマンスしている自分=鞘師里保」を後ろから見ているような感覚が強かったんです。だから自分に対して自信がないところ、ネガティブな気持ちや信頼できない部分があったんですよね。でも、最近になって本当の自分と見ている自分のピントが重なってきたんです。だから「今からの未来は心配ないからこっちにおいで」と、ここまで連れてきてくれた過去の自分の手を引いて、2人で前に進むような気持ちからこのコンセプトに決まりました。そして、『UNISON』と名付けました。

──24歳の誕生日を迎える前のコラムで、「何かを聞かれたときに、相手にとっていい答えを考えてしまっていたけど、自分の気持ちや都合を優先させるように心がけた」というようなことを書かれていましたが、その話とも重なることなのでしょうか?

鞘師 ああ、書きましたね(笑)! 時にはちょっと気恥ずかしかったり、「これを言ってしまったら……」という怖い気持ちがあって、思ったことを押し殺すクセがあったんですけど、今はそういうリスクを抱えてもちょっとずつ自分の気持ちを伝えられるようになってきたんです。そのおかげで「あ、自分の気持ちに正直でいられているんだ」という実感をステップとして少しずつ踏めているような気がして、「今の自分だったらきっと大丈夫」「自分で自分を支えられる」と、やっと過去の自分をしっかり振り返られるようになったんですよね。

──そういう気持ちの変化があったことで、制作する上でも楽になったり、より楽しくなった部分はありますか?

鞘師 楽にも、より楽しくもなりました。もちろんまだ言うのが恥ずかしいな、照れくさいなみたいな気持ちもあるんですよ。
でも私の意見をいいと思ってもらえたら後押ししてもらうきっかけにもなるし、口に出さないと何も動き出さないので、言えるようにはなってきています。

──今回のEPの中で意見を言ってよかった、やりたいことをうまく反映できたと感じる部分はどこでしょう?

鞘師 例えば、私から出したテーマを元にカミさんが軸となっていてくださった歌詞があるんですけど、いただいた歌詞がさわやかな少年系だったのもあって、プリプロ収録時に「何か違うね」ってことになり。カミさんも、プリプロで同時にいろんなアプローチを探っていたので「ここはこういう大人っぽい声で歌えたら」と私の見えているイメージも積極的に伝えて、会話をたくさんしながら歌詞や歌の方向性を決めていけたので本番のレコーディングでは自分の声にも気持ちにもフィットする歌が録れたことがありました。

歌詞の全体の雰囲気でいうと、今までは自分の気持ちの鏡みたいなところに歌詞がある感覚でいたんですけど、今回はもうちょっと未来を考えたり、強気でいられるときの自分の言葉というか、自分の範囲の中にあるけど最高点を保っていたいという目標となる言葉を自然に出せるようになっている感覚があって。そういう意味、全体の言葉のトーンみたいなものも上がっていますね。

──楽曲の先に、ダンスやライブでのステージングがあると思うのですが、そういった部分を意識して出した意見もありますか?

鞘師 『Stupid』のようにダンスのイメージが明確に浮かんで「絶対に歌いたいです」と即決した曲もあるんですけど、『WE THE ONES』は「もうちょっとイントロで速度感を出してほしい」とお願いしたので、ちょっとビートが足されているんですよね。そこから更に、カミさんからも「ラストサビはドラムンベースにして更に加速させて終わる展開にするのはどう?」とご提案いただいて。おかげで、よく聴いてもらうと分かるんですけど一番・二番のサビと最後のサビでバックミュージックが全然違うビート感になり、満足しています。

──ライブではもちろん踊りながら歌うと思うのですが、そのときの歌いやすさみたいなことも考えたりするのでしょうか?

鞘師 正直、そこまではしてないです。曲は曲でクオリティに全振りしちゃっているので、どうやってライブで歌おうかという状態ではあります(笑)。例えば『WE THE ONES』だとBメロで歌とラップの声が重なっている部分もあるのでどっちを生で歌うか選ばなきゃいけないし、ライブでの歌を作る上ですごく大事なところなので、前回以上に細かく進めていく必要がある楽曲が急に増えたなぁという感じです。体力のことも考えなきゃいけないですし……。
でもわざわざ自分たちを追い込もうとしているパートがあったりもしますし、楽しみにしてほしいです!

──今回のコンセプトにもありますが、今の鞘師さんにとって“自由”とはどんなものでしょうか?

鞘師 私にとっては……自分を取り繕わないことですかね。昔は相手の期待に応える自分でいなきゃいけないと、勝手に自分で自分の首を絞めている部分があったんです。でも今はマナーや常識はきちんと守った上でですけど、ナチュラルな私を受け入れてくれる人が受け入れてくれたらいい、ということをちょっとずつ覚え始めているところですね。それができることが自分にとっての自由かなぁって。

──そう思うようになったのはいつ頃からですか?

鞘師 今年から、どういう自分であってもある程度受け入れてくれるという周りへの信頼もあり、ちょっと羽を伸ばしてみるかとより思うようになりました。あと、もうちょっと失敗していこうと思ったんですよね。

──失敗ですか。

鞘師 そうです。今までは失敗しないようにと慎重に歩いてきた部分があるんですけど、それをもうちょっと失敗しよう、失敗する機会を作ろう、と。じゃないと人生が面白くなっていかないなぁと思ったんですよね。でもそのおかげで自由を感じるようになってきたし、今はそれが自分にとって楽になる手段だなと思っています。

──そう考えるようになってから、実際に失敗したことはあるんですか?

鞘師 それが意外と少なくて! というのも、思い切って意見を言ってみたら「あ、そんなこと?」みたいに言われることがたくさんあって。
例えば私、言ったら迷惑かなとか思って「会いたい」と連絡できないタイプだったんです。でもスケジュールが合わないとかはあるにせよ、声をかけてみたら全然会えるじゃんと思って(笑)。今はちょっとずつ成功体験を覚えていますし、軸が自分にある感じがしています。

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(取材・文/東海林その子)
▽鞘師里保(さやし・りほ)
1998年5月28日生まれ、広島県出身。モーニング娘。の“絶対的エース”として2015年12月までグループを牽引。ダンス留学を経て2020年9月より芸能活動を再開し、女優や歌手としての活動を本格化させている。
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