7人組グループ『真っ白なキャンバス』の小野寺梓が12月16日に1st写真集『偶像に生きる』(光文社)を発売する。2017年9月の結成から5年、メンバーの増減を経てきた中で1人結成時から活動してきた小野寺。
引っ込み思案なアイドルオタクだった彼女の活動の原動力を聞いた。(前後編の前編)

【写真】発売前から写真集も話題に、小野寺梓の撮り下ろしカット【5点】

 写真集のロケは長崎・壱岐島で行い、海や田畑をバックにさまざまな表情のカットを収録。秋田県生まれ・東北育ちの小野寺だが、ロケ地の風景には親近感も感じていた。「壱岐島は初めてで。でも青森にいた頃、海が近かったのでその光景を思い出してなんだか似ているなって思えて。ローカルな土地で撮れたのも私のイメージらしいなって思ってもらえるかなと」

 タイトルの『偶像に生きる』には二重の意味を込めた。「現役アイドルの意味での『偶像』ももちろんですけど、白キャンでのかわいい正統派な私とちょっと違う『もう1人の私』という偶像を壱岐での旅で皆さんに見せていく、というコンセプトもあります。だから写真集を見てくれるファンの皆さんも、日常から解放されて私と一緒に旅する気分で見てもらいたいです。島に船で上陸して、撮影していった順番がそのまま本になっているんですよ」

「(グラビアは)ほかのメンバーはあまりやっていなくて、白キャンっぽくないかもしれませんが」と笑うが、「私にとってはアイドルといえばグラビアのイメージがあって、2年前に初めて雑誌でお仕事をいただいてから(ソロ写真集も)目標だったので、プッシュしてくれたファンの方々にも感謝です」と、これと決めた目標への意志は固い。

「学校でも居場所がなくて、アイドルになるまでは引きこもりでろくな人生送ってこなかったです」と自嘲するが、その分「居場所」を求め、必要とされたい気持ちが東北から上京し、アイドルを続けてこられた原動力になった。

嗣永桃子さんや道重さゆみさんのような正統派のキャピキャピのアイドルが好きでした」というファン時代から、「憧れていても自信はなかったのですが、誰かに必要とされたい、居場所がほしいという気持ちで東京のアイドルを目指しました」と振り返る。

ただ、「追加メンバーではなく初期メンバーになりたかったので、応募もゼロからメンバーを集めているところに絞りました。
そうでないと居場所が見つけられないと思っていたんです」というこだわりを持っていた。その本意は?

「誰かの代わりのように思われるのが嫌だったんだと思います。後から追加メンバーとして入ると、もしかしたら抜けた子の代わりに思われたり、先輩メンバーと比べられるかもという不安があって、余計に自信がなかったんでしょうね。でもアイドルになりたいし必要とされたい気持ちがあったから、新しいグループでならゼロから認められて、私の居場所を作っていけるかも、という希望がありました」

 暗い過去を振りきって居場所を求めた小野寺だが、ファンの声援とグループへの責任感が、メンバーとしての自覚を強めてきた。「白キャンに入って、人生で初めてお世辞でなく『可愛いよ』って言ってもらえて、髪型のこともいじってもらえたりしてくれました。私がグループを引っ張らなきゃとか、今やめたらメンバーもファンもどうなっちゃうの?と考えるようになって、アイドルを続けるか、やめるかも私ひとりで決められることではなくなってきたのかな」

 グループは4人でスタートし、小野寺は可愛い正統派キャラ、あるいは引きこもり歴のあるインドア系キャラクターでいた。だが、「初期メンバーが卒業を言い出した時は全員一度は引き留めました」という過去もある。

「まだ大丈夫じゃない?もっと(白キャンが)落ち目になってからでもいいんじゃ?と言って止めたんですよ(笑)。今もですが、白キャンはもっと上を目指せると思っているので。それに、私の方が『もし梓ちゃんが辞めたら私も辞める』ってメンバーから言われたこともあったので、簡単に投げ出すわけにいかなくなってたんですね」

 真っ白なキャンバスのセンターとして活動していくうちに、彼女のアイドル性に憧れる後輩もできた。

「2年前に加入した浜辺ゆりなは加入前から白キャンのイベントに来てくれていて、メンバーになってからも私のことを何でもほめてくれるんですよ。顔もパフォーマンスも全部好きです!って言ってくれるし、性格もダメなところばかりなのに『そういうとこも好き!』ってポジティブにほめてくれるので、私も安定したメンタルでいられるというか(笑)ありがたいですね。」

 メンバーの増減がある中で唯一結成時からいるオリジナルメンバーとなり、真っ白なキャンバスは彼女にとって確かな居場所になった。
メンバー・ファンともに彼女のアイドルらしいところも、そうでないところも認めてくれている。

【後編】「24時間アイドルという人種を生きる」真っ白なキャンバス・小野寺梓の決意
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