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個性的な音楽や感情のこもった歌い方、年齢離れした才能で知られるAdoだが、ラジオでは20歳の女の子らしさが見え隠れする。新境地を開拓し続ける彼女のラジオの魅力を紹介したい。
Adoはすでに歌い手として大人気であるものの、その素顔は未だベールに包まれたまま。これまでに特番でANNのパーソナリティを務めたことはあったが、今回はレギュラーパーソナリティとしての選任だ。27時台のANN2部を務めたのちに1部へと昇格していく例が多い中、いきなり1部パーソナリティに選ばれるのは俳優・菅田将暉以来6年ぶりだという。過去の特番の反響が大きかったことが抜てきの理由とされており、期待の高さがうかがえる。
4月3日の初回放送では少し緊張を見せつつも軽快なトークで一人しゃべりを展開。Adoをあまり知らないANNリスナーは、曲とのギャップに驚いた人も多いだろう。自身を“20歳の明るい陰キャ”と称す彼女。たまにしどろもどろになりこちらが心配になるような場面もありつつ、開始から1時間ほど経過する26時前には「陰キャがしゃべってるんだから起きなさい?」と手をたたき、自身とリスナーを鼓舞するような場面もあった。
自身が好きなものについてはわかりやすく饒舌になり、まさにマシンガントークと言えるような一人しゃべりが始まる。たまたまラジオをつけてこの声とトークを聴いたら思わず「なんだなんだ?」と耳を傾けてしまうような、独特な世界観を放っていた。
軽快かつ熱のこもったトークは第2回放送以降も変わらない。例えるなら、ラジオと言うよりもニコ生やツイキャスで20歳の女の子のしゃべりを聴いているような感覚に陥る。好きなものについて熱量をこめて話す場面とテンション低めに話す場面が入れ代わり立ち代わり出てくるのだからおもしろい。いい意味で普通の女の子らしさが出ていると言える。
特番の時にはさすがに緊張がみられたが、レギュラーとして1ヵ月経過した今は一人しゃべりにも不安はなくなり、すでに深夜ラジオの雰囲気をつかみ始めていて心強い。リスナーとの距離感が絶妙なのは、これまで彼女がおこなってきたライブ配信などの経験の効果もあるのかもしれない。
番組内ではもちろんAdoの曲が流れるのだが、しゃべりとのギャップをじかに感じられ、いっそう魅力が増す。力強い歌声に圧倒的な才能を感じざるをえないのだが、またすぐに軽快な一人しゃべりが始まるのだから「本当に同一人物?」と疑いたくなるほどだ。
それは、このラジオで知らぬ間に彼女に親近感を覚えてしまっているからなのだろう。同時に歌い手としてのすごさも再認識させられるのだから、この2時間の生放送は威力がすごい。2人組でテンポの良い掛け合いが特徴だった前パーソナリティ・Creepy Nutsとはまた違う雰囲気の番組ながら、やはり月曜1部は“アーティスト枠”であると改めて実感するのだ。
椎名林檎や倉橋ヨエコの音楽を聴いて歌い方を真似ていたという彼女、大人びた感性はそこからきているのだろう。
素顔が見えないからこそ、毎週最新の声を聴けることはファンにとってはたまらないことだろう。名の知れたハガキ職人からのメールも多く、長年の深夜ラジオリスナーたちからも自然に受けいれられているのがわかる。深夜ラジオを聴く習慣がない若い人であっても、ニコ生やツイキャス感覚で気軽に聴ける『Adoのオールナイトニッポン』からなら入りやすそうだ。
『うっせえわ』から瞬く間に歌い手としての地位を確立していった彼女。新境地を確実に開拓し続ける彼女の魅力はとどまるところを知らない。3月におこなわれた新パーソナリティ発表の記者会見では、VTRで「ゲストさんを招いてお話しするのもやってみたい」「お便りをたくさん読んでゲラゲラ笑いたい」と語っていたAdo。ゲストを交えてのトークが聴ける日もそう遠くはなさそうだ。
今後も新境地を開拓していく彼女が人間力・表現力を鍛え、歌い手としてさらに進化することを願ってやまない。
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