2020年のアニメ化に続き2022年10月にはドラマ化。
【写真】松村沙友理&平尾アウリ、貴重な2ショット写真【5点】
──こうしてお話しする機会も少ないかと思いますので、互いに気になることをお話しいただきましょうか。
松村 相当アイドルの現場をリアルに描かれているので、どこまでが取材や実体験で、どこまでが想像で描かれていたのかずっと気になっていたんです。
平尾 取材と言いますか、私の周りにアイドルをやっている子やオタクが身近にいたので、ご飯を食べながら雑談して色々と話を聞いて、全部が全部ではありませんが落とし込みました。それに私もアイドルオタクで(笑)。接触のシーンには私の実際の体験もある程度は反映しています。私の推しもメチャメチャ塩だったので、その部分はリアルに入れ込みました。
松村 ひぇ~! セリフがリアルなのは、先生のリアルだったからなんだ。アイドルが塩だったとき、心折れませんでした?
平尾 メチャメチャ折れていました。これだけ話しているのに全然対応してくれないんだなあって。
松村 私なら一方通行すぎるとダメかも……その傷はどうやって癒したんですか?
平尾 「次頑張ろう」って、前向きに考えて耐えてました。
松村 本当にえりぴよと同じ気持ちだったんですね。
平尾 そうなんです、まあその推しは結局卒業するまで塩のままでしたけど(笑)。
松村 えぇ~、つらい~‼
──舞菜が心の中ではえりぴよを強く想っているのは、アウリ先生が実際に「こうだったらよかった」という理想も乗せているのですか?
平尾 はい、そうです(苦笑)。
松村 ぜひ漫画では二人には両想いになってほしいですよ~。
──アウリ先生からはいかがです? 今後の作品作りの取材もかねて。
平尾 いいんですか? では……卒業されるときは、何がタイミングだと思われたのですか?
松村 なんと言いますか……私、何度も「もうダメだ!」と卒業を考えては、そのたびに周りに相談してきたんです。スタッフさんは優しいので、「もう少し頑張ろう!」と必ず励ましてくれて、私もそのたびに「よし頑張るか」と、なれていたんです。けど、あるときに相談した際、今まで嬉しかったはずの「もう少し頑張ろう」の声が、自分の中で響かなくなってしまって。そのときに「ああ、それほど自分の意思が固くなったんだ。これは本当に卒業するタイミングなんだ」と思ったんです。
平尾 なるほど……すごく参考になります。
一同 (笑)。
──これは重要な話だ(笑)。
松村 白米が大好きで、いつも朝はご飯を食べています。今日は鮭、明太子のおにぎりを食べてきました(ニコニコ)。
平尾 かわいい~! ビーツとかブランじゃないんですか? これだけ細いので、きっと食べ物に相当気を使っていらっしゃると思っていたんです。
松村 いえいえ。舞菜ちゃんのカラーは「サーモンピンク」ですよね。劇中でも鮭を持たされたり鮭がついた衣装もあったりして、「私の推しだ!」と、それだけで勝手に推し認定したぐらいです(笑)。
平尾 共通点があって良かった、鮭を選んで良かった。
──鮭も選ばれて本望ですね(笑)。松村さんは、印象に残る場面やセリフなどはありますか?
松村 私、乃木坂46時代、ずっと、「あなたがいるから生きていける・頑張れる」という言葉が、正直なところ上手く理解できていなかったんです。
平尾 なるほど……。
松村 それが、えりぴよを演じて初めてわかった気がしたんです。舞菜ちゃんが頑張る姿を見て「私も頑張ろう!」と勇気づけられたし、自分の働いたお金が舞菜ちゃんの応援に繋がって舞菜ちゃんが輝くのなら、なんでもできる!と本当に思えて。ああ、本当に推しの存在が自分の生きる力になるんだ……と、アイドルとファンの素晴らしい関係を、『推し武道』を読んで、えりぴよを演じて、初めて理解できた気がしたんです。
平尾 えぇ~! そうなんですね。実際あの場面は、「過去の推しの存在のおかげで私も生きてこられた」と思い出しながら描いていたんです。正直、当時の私は「私はどうなってもいいから、この子には輝ける未来が待っていてほしい」と考えていて、その気持ちをそのまま入れ込みました。
松村 本当にアイドルの想いもファンの想いも、すごくキレイにたくさん詰まった作品ですね。実は、えりぴよ役のお話をいただいたころは、自分の演技の形に悩んでいたんです。そう悩む中でも「私が絶対にやりたい!」と思える作品でしたし、私は『推し武道』のおかげで改めて「アイドルとしての私があったから、この人生を歩めている」と思えたので、この先の人生もずっと私にとっての大切な作品です。
平尾 ああ~……もう嬉しすぎる、届いています、感無量です。
【前編はこちら】松村沙友理×『推し武道』原作・平尾アウリ 劇場版公開記念対談「漫画を描いてきてよかった」
▽『劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ』
5月12日(金)全国ロードショー