「おじさん号泣」のM-1優勝から1年半。お笑いコンビ・錦鯉が6月4日の東京公演を皮切りに、本業の「漫才」を引っ提げて5都市を回る初の全国ライブツアーを開始する。
ツッコミの渡辺隆インタビュー後編である今回は、漫才との向き合い方や相方との関係、芸人としての在り方にまで話は及んだ(前後編の後編)。

【前編はこちら】錦鯉・渡辺が語る笑い「自分たちは漫才で世に出たので、漫才をやり続けるのが宿命」

【写真】初の全国独演会ツアーを開催する錦鯉

ネタだけじゃなくて、バラエティやロケなんかもやらせてもらっていますけど、「これはウケた」「この番組はハマった」っていう実感はあまりないです。自分では何の個性もない、1人じゃ何もできない、と思っているので。

たとえばバラエティのひな壇に座ったとしても、僕なんかより(長谷川)雅紀さんの扱いが上手い人がたくさんいるんです。なんなら任せっちゃったりもします。そういうのはいろんな番組に出させてもらってわかってきたことです。

僕もどちらかというとイジられるほうなんで、雅紀さんと2人でイジられて番組が終わることもあります(笑)。作り手側の発想力だったり、共演者の方の力量だったりで生かしてもらえているというか。そういう番組はやってて楽しいです。

若い頃から、自分が前に出て面白くしよう、というタイプではなかったです。もちろん、ライブの場だったり番組だったりを面白くしたい、っていう風には思うんです。でも、自分じゃなくて結果的に全体が面白ければよかった。
コンビでもゴールは雅紀さんに任せて自分はパスを出す、というか。

でも、いまだに雅紀さんにはそのパスが伝わらない時もあるんです。「蹴れ!」って言ってんのにボールを持ってドリブルしちゃう人なので。今がシュートだ、ということに気付かない(苦笑)。昔は「シュート打てたよ」って言ってた時期もある気はしますけど、今はもう何も言ってないです(笑)。「できねえもんはできねえんだな、だったら俺が行くか」っていう意識の芽生えは強くなったかもしれません。

最近は、会う人会う人に「みりちゃむ見ましたよ」って言われます(※テレビ東京「ゴッドタン」他プロデューサー佐久間宣行氏のYouTube企画「罵倒キャバクラ」シリーズで共演する、雑誌「egg」専属モデルの大木美里亜ことみりちゃむ)。あれはワタクシは本当に楽しかったですねえ。

まあ、みりちゃむは他の番組を見ていても、どこでもちゃんと結果を残しているすごい子ですから。あの企画は本当に僕への負担が無くて、佐久間さんにも「キャバクラの企画をやるんで、お客として入ってください」ぐらいしか言われてませんでした(笑)。バズったのは100%みりちゃむのおかげなんですけど、もう僕にとっても代表作みたいになってます。ただお酒を飲みに行っただけなのに(笑)。


お酒はずっと好きですね。なんだかんだ飲んでます。コロナ禍ではなかなかお店には行けなかったですけど、それでも最近はたまに収録終わりにキャバクラに行ったり。「これが終われば飲める!」って気持ちでやってることも、ありますね。

仕事で飲めない日もあるので、それが休肝日ってことで(笑)。だから、忙しいですけどストレスはないです。

僕が子供の頃に見ていたテレビの世界は、収録が終れば毎日ドンチャン騒ぎ、みたいな感じでしたけど、いざテレビに出られるようになったら全然でした。そんなことをしている人は聞かないですし、むしろテレビに出ている人が一番真面目なんじゃないかな。何かやらかしたらすぐに拡散される時代ですから。「話が違うよ!」とは思ってます(笑)。

どこで飲んだって夜遊びしたって、迷惑さえかけなきゃ、隠す事じゃない。逆にそういうことを隠すからみんな見たがるのかもしれないし。
だから僕は隠さないです。

むしろ、頑張って漫才作ってます、とかそういう部分はあんまり言いたくないタイプです。バットを振って練習している姿は見られたくない。舞台やテレビでそのまんま、適当なことをしゃべっているやつだな、って思われたい。

表の部分とか、ガワだけを見てもらって笑ってほしいんです。今はお笑いでもマンガでも何でも深く考察して面白がる、みたいなことがブームですけど、錦鯉の漫才なんて深い意味なんか何もないですから。

意外な一面、とかどうでもいいですよ。意味もないのに笑わせることって、圧倒的に面白くないとできないことだと思うんです。少なくとも僕は誰かに深読みされても中身は何にもない、それで笑ってもらえる人になりたいです。
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