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同作は、「リリイ・シュシュ」という謎の歌姫をめぐる、少年少女たちの繊細かつ残酷な青春群像劇。とくに観る者の記憶に強く残るのは、援助交際を繰り返し、自ら命を断つ女子高生・津田詩織だろう。この詩織役を演じた人物こそ、今や誰もが知る実力派女優・蒼井優だった。
同作は、当時15歳の蒼井が映画デビューを果たした作品でもある。当然、役者としての経験は少なかったものの、その演技は監督にとって強烈なものだったようだ。公開からおよそ10年後に行われたCINRAのインタビューで、「彼女の演技を見ているうちに『むしろストーリーのほうを変えようかな』と思いました」と語っていた。
蒼井がその後、岩井作品の常連になっていることからも、『リリイ・シュシュのすべて』で示した存在感の強さが分かるだろう。
また、市原隼人にとっても同作は映画初出演作品にあたる。今では卓越した演技力の熱血俳優として知られるが、当時は初々しく、どこかあどけない姿を見せていた。
市原が演じた主人公・蓮見雄一は、「リリイ・シュシュ」に心酔する中学2年生。
『リリイ・シュシュのすべて』に関して言えば、脇役として出演した俳優陣も豪華だ。剣道部の部長役で登場したのは、当時20歳の高橋一生。子役としてすでにキャリアを積んでいた高橋ではあるが、劇中では瑞々しい高校生役を演じている。
さらに雄一のクラスメイト役としては、勝地涼が出演。今では宮藤官九郎作品の常連として、個性派俳優の地位を確立している勝地だが、当時は若さゆえの失敗があったという。
友人たちと橋の上に並んで立ち小便するシーンがあるのだが、そこで勝地は急に台詞が言えなくなってしまったのだ。「『リリイ・シュシュのすべて』公開20周年記念スペシャルトーク」によると、そこまで難しい台詞ではなかったはずなのに、なぜか苦戦を強いられていたとのこと。
その日はちょうど撮影最終日でもあったため、“言ったら終わっちゃうと思って言えなくなったのかもしれない”というのが共演者たちの弁だ。屈指の役者に成長した今から振り返ると、感慨深い逸話ではないだろうか。
なお、岩井監督の作品では『リリイ・シュシュのすべて』以外にも、さまざまな作品で未来のスターが発掘されていた。
最新作『キリエのうた』でも映画初主演のアイナ・ジ・エンドを抜擢しているが、はたして岩井監督は彼女に何を感じたのだろうか。才能の原石がどのように磨き上げられるのか、その結果が今から楽しみだ。
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